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2017-10-25 00:00
(連載1)核兵器禁止条約よりNPTの方が“まし”な理由
倉西 雅子
政治学者
今年のノーベル平和賞は、核兵器禁止条約の成立に向けての活動が評価され(2017年7月7日採択)、国際NGOである核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に授与されることが決定されました。しかしながら、既存のNPTと比較しますと、核兵器禁止条約には、以下のような問題点が見受けられます。
第1の問題点は、核保有国が一国たりとも核兵器禁止条約に加盟していないという、歴然とした現実に基づきます。NPTの場合には、核保有国は、保有の特権が認められる代わりに、核不拡散の義務をも負わされています。否、仮に、非核保有国への核拡散が生じた場合には、国連の常任理事国と凡そ一致する核保有国がその責任を負わされる立場に置かれているとも言えます。一方、核兵器禁止条約には、如何なる国にも保有の特権を与えない代わりに、核拡散に対して責任を負う国も存在していません。
第2に、第1に関連して指摘し得るのは、核兵器禁止条約は、核保有国、並びに、その核の傘の下にある諸国が参加を見送っているため、一般国際法としての要件に欠けている、あるいは、そのレベルが極めて低い点です。正当防衛をも不可能とする性質を持つような武器等の法規制は、適用の一般性、すなわち、例外無しの適用が保障されていませんと、違反国が出現した場合、逆効果となる場合が少なくありません。この問題は、アメリカの銃規制問題とも共通していますが、侵害行為が現実に起こり得る場合には、自らの身を自らで守る手段の放棄強制は、他者による自らの殺害の容認をも意味しかねないのです。
第3に、核兵器禁止条約には、日本国憲法第9条と同類の重大な欠陥があります。それは、核兵器の開発から使用までの一切の放棄という行動規範を定めてはいても、仮にこの行動規範に反する違法行為を行う国が出現した場合については、強制排除のための有効な最終手段が全く準備されていないことです。(つづく)
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