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2017-10-13 00:00
(連載2)日米欧で最多の日本の選挙の弊害
中村 仁
元全国紙記者
不意打ち解散で野党は準備不足で選挙に臨みます。自民党も安倍首相の意向が絶大ですから、党内で充分に議論しないまま、消費増税の使途変更、全世代型社会保障制度などを掲げました。選挙公約は民主党政権当時の過去を振り返っても、いかに当てにならないかが分かります。ついでにいえば、約束事を意味する公約なのに、単なる政策目標にすぎません。メディアは公約という表現をやめるべきです。
先ほどの「大機小機」氏は「国家指導者を選ぶ機会が4,5年に1度しかなければ、有権者は候補者が約束する政策の中身をもっと吟味するようになる」と、指摘しており、私は賛成です。もっとも大統領選は4年に一回の米国でも、トランプ大統領は実現が難しい公約を乱発しています。世論調査で常時、政権に対する評価が出てしまうネット時代の影響が大きいでしょうね。
とにかく選挙のやりすぎです。経済の成長力が落ち、その分を財政膨張、金融拡大でカバーしようとします。必要な財源を国債発行に頼り、増税を回避しようとしますから、財政危機はどんどん悪化します。今回、安倍政権が消費税10%を約束したものの、国債償還を減らし、歳出にも振り向けるといったのは、そういうことです。与党以上に厳しいことを言えない野党は、消費税凍結というさらに安易な道を選びました。希望の党は企業の内部留保への課税を打ち出しました。税法違反になりかねない法人への二重課税にあたります。
第二次安倍政権が誕生する前、毎年のように首相がころころ変わるのは、国政選挙が多すぎるからだと言われたりしました。第二次安倍政権は5年の長期にわたっています。しばしば選挙をしている印象を受けるのは、3年に一回ある参院選が政権選択に大きな影響を持ってしまっているからでしょう。選挙報道、論評は公約の是非、議席予想、安倍政権継続への影響、野党再編の批判ばかりでなく、民主主義のためには、どのような選挙のあり方が望ましいのか、広い視野からの問題提起をお願いしたいですね。(おわり)
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