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2017-09-26 00:00
(連載2)米朝“話し合い”路線のリスク
倉西 雅子
政治学者
しかしながら、たとえ“政治問題”であったとしても、北朝鮮が、朝鮮半島の統一を目的に“話し合い”の場を求めているとは思えません。その理由は、真に“話し合い”による南北の統一を願っているならば、そもそも核・ミサイルを開発する必要がないからです。言い換えますと、政治問題の解決のために核・ミサイルを開発したとすれば、その真の目的は、南北対等な立場での合意による統一ではなく、核を脅迫手段とした北朝鮮による赤化統一の強要としか考えられないのです。
加えて、北朝鮮の核・ミサイル開発の目的が、純粋に“政治問題”でもないことは、94年の米朝枠組み合意や六か国協議の経緯を見れば明らかです。核・ミサイルカードは、周辺諸国、並びに、国際社会から支援を騙し取る手段でしかなかったからです。核兵器、並びに、各種ミサイル等を保有した今日では、さらに犯罪性がアップし、“身代金要求”の脅迫手段となりつつあります。
イギリスでは、アングロサクソン時代に、北欧のデーン人からの攻撃を免除してもらうために、デーンゲルトと呼ばれる貢納金を支払っていましたが、現代という時代にあって、北朝鮮は野蛮な無法時代の行為を蘇らせようとしているのです。そして、この立場からしますと、北朝鮮が意図する“話し合い”の場とは、“身代金”の額や、あるいは、貢納リストを相手方に示す場に過ぎないのです。
以上に述べたように、アメリカの基本的な“話し合い”のスタンスが、降伏した暴力国家に対する事後処理であり、北朝鮮のそれが、脅迫による赤化統一、あるいは、貢納の要求である限り、たとえ両国間で交渉の場が設けられたとしても、平行線を辿ることは目に見えています。しかも、平和の名の下で合意の成立を急ぐあまりに北朝鮮の路線に傾くような事態ともなれば、“脅迫”即ち国際犯罪の追認という“犯罪者の勝利”を迎えることとなりましょう。悪逆非道な独裁者が高笑いし、NPTを誠実に遵守してきた諸国が“馬鹿を見る”ような“話し合い”解決は、倫理に照らして間違っていると言わざるを得ないのです。(おわり)
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