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2017-09-22 00:00
中国山東省訪問
池尾 愛子
早稲田大学教授
山東省済南市で開催された国際シンポジウムに参加するために、3年ぶりに中国を訪問した。訪問するたびに中国が変わってゆくことがはっきりわかる。東京から済南への直行便がないので、上海まで飛んで、上海から高速鉄道で済南に入った。帰路は、済南から青島まで高速鉄道を使い、青島から飛行機で帰国した。高速鉄道の利用は2度目になるが、二等車でもその乗り心地は、周りさえ騒がしくなければ、日本の新幹線よりよいようだ。振動が少ないので、疲れにくい。車内電光掲示によれば、時速300キロを少し超えていた。済南在住者から、もう少しすると、時速350キロで走行するようになる予定で、旅行時間も短縮されると聞かされた。
上海のスターバックスに集う地元の若者たちは、アメリカや日本の若者たちとほとんど変わらない。ホテル受付の外国人への対応も、かなり落ち着いたものになっていた。チェックインとチェックアウト以外の用向きでも、粘れば英語でできるかもしれない。しかし、ホテル付近にタクシーがおらず、また(友人が)中国語でホテルのドアマンに依頼して(アプリを使って)タクシーを呼んでもらえたのが一度だけだった。移動やチケット購入にはやはり十分な時間をみる必要がある。何かあるとすぐに待ち行列が伸びてゆく。中国の電話番号をもっていれば、インターネットにアクセスしやすいようであるが、そうでなければ、インターネットにつながりにくいことが多い。
2017年4月7日に本e-論壇に「中国での学術交流に期待する」と題して書いたように、中国の山東省の大学では、「自分が会員である学会の大会あるいは国際会議を開催してよい」となっている。そのおかげで、今回の国際シンポジウムが実現し、ふだん大会や研究会で集う研究仲間が中国本土で会することになった。中国側の報告は若い人たちのものが多かった。「ビジネス日本語」の人気が高いと聞いた。分科会の一つでの「企業による消費者教育」についての発表に対しては、「日本語では、それは広告やマーケティングのことだ」と何人かがコメントした。可及速やかに改めていただきたい日本語での誤りである。済南では、国連の持続可能な成長目標(SDGs)に関するセミナー(英語)や河川三角州に関する会議、青島では、文化・伝統に関する研究会議が開催されているのに気づいた。中国本土において、中国語での国際会議が盛んに開催されていることも聞いた。
山東省を訪れる中国人は多いようだ。中国では、山東省を海外からも訪れてほしい、特に泰山・岱廟と曲阜を見てほしいと思っているように感じられる。泰山は道教の聖地で、歴代皇帝が「封禅」の儀を行った場所である。古代信仰と皇帝の歴史が交じり合うところが興味深く、日本の出雲を思い出していた。曲阜は孔子の生誕地である。山東省首都の済南は人口700万人を擁すほか、歴史的なスポットも多いようだ。山東料理も日本人の口にあう。友人たちが撮った写真をウェブサイトにアップロードした。中国での写真撮影をためらい続ける私には、時の流れが感じられる。済南での1928年(民国時代)の事件の石碑は友人が見つけた。話には聞いていたのだが、高層・中層・低層の建物が空のままであったり、建物や道路の建設が完成に至らず途中で止まっていたりするのを見かけた。その一方で、建物や道路の建設が続いている地区があった。来年、日本関係のある国際学会の大会が曲阜で開催される予定である。それが私にとって二度目の山東省訪問になる。
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