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2017-09-19 00:00
韓国経済について
真田 幸光
大学教員
韓国政府系シンクタンクである韓国開発研究院(KDI)が発表した「経済動向9月号」によると、「本年4~6月期の韓国の産業生産の増加率下落にみられた景気不振の兆候は多少緩和した」との見方が示されています。即ち、本年7月の全産業の生産は鉱工業を中心に前年同月対比2.2%増加し、増加率は前月の1.7%より0.5ポイント拡大しています。鉱工業生産は0.1%の増加で、前月の0.5%減からプラスに転じています。詳細を見ると、半導体(13.0%減)が減少していますが、電子部品(10.7%増)、石油精製(8.0%増)などほかの品目の生産が改善していると報告されています。
また、サービス業生産は2.2%増加しており、増加率は金融・保険業(4.9%)と不動産・賃貸業(5.7%)で縮小したものの、卸小売業(1.4%)が反動増などで改善しています。一方、製造業の平均稼働率も前月の71.2%よりも高い73.4%を記録し、4月から3カ月連続の下落傾向は一段落しました。そして、製造業の出荷も、輸出出荷を中心に前月の0.2%減から0.5%増とプラスに転じましたが、KDIは、「民間消費の改善傾向はまだ弱い」と慎重な分析結果を示しています。7月の小売販売額に目を向けると、前年同月対比3.5%増を記録し、前月の1.1%増より上昇幅が拡大しています。これは昨年6月末の個別消費税引き下げ終了による反動増で、乗用車を中心に耐久財の販売額が11.5%上昇した為と見られています。尚、非耐久財は1.0%の増加に留まり、準耐久財は2.4%減少しました。
一方、経済状況に対する消費者の心理を総合的に示す消費者心理指数は、8月に基準値(100)を上回る109.9となっていますが、家計状況や景気に対する悲観的見通しが根強く、前月より1.3ポイント下落しています。更に、設備投資についてKDIは、「高い増加率を維持しているが、これを牽引する半導体部門の先行指標の増加傾向は多少鈍化している」としてやはりここでも懸念が示されています。そして、8月の半導体製造用装備の輸入額の増加率は前月より減少し、機械類の輸入額の増加率も下落したことから、今後設備投資の増加幅が多少縮小する可能性があるとKDIは見ているようです。建設投資については、完成工事高の増加率は14.1%で前月の8.7%を上回っており、土木部門の不振が続いているものの、建築部門の増加傾向は続いています。そして、建設投資の先行指標となる建設受注は30.8%減少しました。輸出は量的には増加傾向が弱いが、金額は増加傾向が拡大し、8月の輸出額は半導体の好調で17.4%と高い増加率を記録しています。
経常収支は、前年同月の84億1,000万米ドルを下回る72億6,000万米ドルの黒字となっています。一方、7月の雇用情勢に見ると、製造業の不振が一部緩和して前年同月より31万3,000人増加しましたが、サービス業では反動減が続き、増加幅が低いままに留まりました。そして、8月の物価は、農畜水産物の価格上昇で前月(2.2%)より高い2.6%の上昇率を記録しています。以上のようにまだら模様の韓国経済でありますが、北朝鮮問題もあり、先行きの不透明性は更に増していると見ておきたいと思います。
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