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2017-09-11 00:00
(連載1)ロシアについて
真田 幸光
大学教員
通貨は国家の主権の象徴です。そして、ロシアのルーブルは東西冷戦時代に東側諸国の基軸通貨であった旧ソ連のルーブルの流れを引く一流通貨の一つです。しかし、アジア通貨危機の翌年に発生したロシア金融危機以降は、どうも、国際金融筋の投機の対象としても扱われています。そしてまた、ウクライナ問題、クリミア侵攻などもあり、ロシアに対する国際的な制裁が発動される中、ロシア経済を支える資源エネルギー価格も下落、その結果として、ルーブルも打たれました。
こうして、ロシアの通貨・ルーブル相場は、2014年後半以降の原油価格の下落、同年11月の変動相場制への移行を経て、大幅に水準を切り下げていました。そして、対米ドルでは2016年1月には1米ドル=82.5ルーブル、対円では2016年2月に1ルーブル=1.41円と、それぞれ史上最安値をつけていました。しかし、その後、原油価格の持ち直しに伴い、ルーブル相場は対米ドル、対円ともに反転上昇し、また、米国トランプ政権の誕生により、やや地合いが変わる中、2017年入り、原油価格のさらなる安定化を背景に、ルーブル相場は堅調に推移しました。
但し、4月下旬以降に原油価格が一時1バレル=50ドルを割り込む局面では一旦、弱含みで推移しました。その後、原油価格が6月下旬を底に再び上昇に転じたことに伴い、ルーブル相場も反発、今は対米ドルで58~59ルーブル台後半、対円で1.8~1.9円台で推移しています。こうしたことから、物価高に加えて、ルーブル高もあり、私にとっては、ロシアでは、あまり楽しい買い物、食事生活は出来ませんでした。
尚、ロシア中央銀行(CBR)は、2017年3月以降に3会合連続で累計1.00%の利下げを実施し、政策金利を9.00%へ引き下げています。そして、市場では、CBRがインフレ率の低下を受けて2017年9月以降に利下げを再開し、政策金利を更に引き下げ、そうした利下げトレンドが再開されれば、景気は底堅さを増すとの見方を示していました。(つづく)
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