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2017-08-29 00:00
(連載2)北朝鮮のミサイル発射と存立危機事態
緒方 林太郎
衆議院議員(民進党)
私は存立危機事態に関しての平和安全法制審議では、当時の維新の党が提出した修正案がとてもよく出来ていると思います。存立危機事態を「武力攻撃危機事態」として、定義は「条約に基づき我が国周辺の地域において我が国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃(我が国に対する外部からの武力攻撃を除く。)が発生し、これにより我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態」です。これが本来のあるべき姿だと思っています。
ここでかなりの無理をして存立危機事態認定するのは、平和安全法制の精神からしても筋が悪いです。「実績作りをしたがっている」と見られても仕方ないでしょう。アメリカの領海内にミサイルが落ちる事は深刻な事です。ただ、それにより「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」とまで言ってしまうと、今後の存立危機事態の認定のハードルはとても下がります。
しかし、冒頭で述べた通り、私はきちんとミサイル防衛はやるべきだと思います。ただ、それは「存立危機事態」を持ち出すよりも、警察権の行使でやる方が素直な所でしょう。「国防を担う自衛隊が警察権?」というのも変な話に聞こえるかもしれませんが、これまでの解釈でもそういう可能性を認めてきております。とても雑な言い方をすれば「日本の上空を危なっかしいものが飛んでいるので除去する」という事です。これとて少し法的には整理をする必要があるのですが、ただ、存立危機事態を認定する程の大ジャンプをしないと辿り着けないわけではありません。
そもそも論を言うと、集団的自衛権は個別的自衛権があってのものですから、米国の個別的自衛権発動が明確でない段階で(特にEEZへの落下の時は個別的自衛権発動にならない可能性大)、何も日本が集団的自衛権の発動を口にする必要はありません。あくまでも、警察権の行使できちんと対応する姿勢を固めていれば十分でしょう。(おわり)
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