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2017-08-09 00:00
中国本土、知的財産権について
真田 幸光
大学教員
日本の経済界のみならず、世界的に見ても、「中国本土では、知的財産権を守ることが、実態的には難しい」と言う見方があり、私の実体験からしても同様のことを感じます。私が経験した一つの例を上げて申し上げますと、私が、中国本土企業に対して、融資に関する仕組み付きプロポーザルを提案したところ、その中国本土企業は私が提案したプロポーザルの仕組みを、提案書にて禁止していたにも拘らず、また、我々に何の連絡もなく、そのまま我々のプロポーザルの全てを他行に見せた上で、「もっと良い融資条件を得た」として、他行からの融資を決めました。これに対して、私は遺憾の意を示し、抗議をすると、「知識や経験を持つ先達がそのノウハウを無償で後進に教えることが正義である。それにまた、日本は中国本土から多くの文化的ノウハウを無償で得た歴史があるではないか! 何を、文句を言うか」と回答するではありませんか。司法に訴えても無駄であると、中国本土の司法当局の当時の様子を勘案、本件、抗議を断念した、と言う経験があります。なんと言うことかと思いました。
こうした後、その中国本土も国際化が進み、世界のリーダー国として、国際標準を意識する動きが拡大し、今は、多分、知的財産権に対する国家としての姿勢も変わってきているものと思います。即ち、「中国本土政府は、2014年には知財紛争を専門に扱う裁判所を設立、また、助成制度などで知財の出願を奨励している。こうした結果、2014年の特許出願数は90万件超と5年間で約3倍伸び、特許訴訟は年間約9,000件となっており、特許訴訟の多いアメリカの約2倍の高水準にまで達している。これは中国本土政府がこの10年間で知財保護制度を急速に整えてきたことが背景にある」と中国本土の動きを肯定的に評価する見方が出ています。
私もこれを否定はしません。しかし、私が知るところ、例えば、日本企業の様子を見ていると、中国本土での知的財産権による争いは、巨額の訴訟費用が掛かる上、所謂、アウェイで訴訟をしても、「たとえ負けないにしても、先ず勝てない」と言った考え方が強く、更に、訴訟になった場合は日本企業が被告になるケースがほとんどであることから、日本企業は知的財産権の侵害行為を確認しても、中国本土では、訴訟に踏み出すことまでは、今でもあまりしていないのではないかと思います。
こうした中、今般、「中国本土企業が製作発表した映画で、“ウルトラマンが許諾なしに使用されている”として、日本の円谷プロダクションが、抗議の声明を発表した。法的措置を含む断固とした対応を取るとしている。作品は、広州藍弧文化伝播有限公司が10日に北京で製作を明らかにした、“鋼鉄飛竜之再見奥特曼”である。題名に“奥特曼=ウルトラマン”が入り、先行発表された映像にウルトラマンが登場する。円谷プロは、“当社は一切関知しておらず、ウルトラマンブランドを著しく毀損し、到底認められるものではありません”とのコメントを出している」とのニュースに接しました。果たして、中国本土の司法はどう出てくるでしょうか? 円谷プロは、最後まで、腰を引かずに戦い続けるでしょうか? 私は本件を通して、最近の中国本土の知的財産権に対する真の姿勢を確認できればと考えています。
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