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2017-08-03 00:00
習近平国家主席の“党主席”復活の狙いとは?
倉西 雅子
政治学者
今日、中国において、国家組織の最高ポストである国家主席の座にあるは、習近平氏です。その習氏、国家主席では飽き足らず(共産主義では、党が国家を指導し、国家に上位すべきとする認識がある…)、“核心”という称号に加えて、今度は、党主席のポストの復活を提案したと報じられています。
“党主席”とは、唯一、建国の父とされる毛沢東氏のみが就任し得たポストです。“核心”は、毛沢東氏に加えて鄧小平氏や江沢民氏にも与えられた呼称に過ぎませんので、“党主席”の地位には別格の重みがあります。併せて68歳以上の幹部定年の制度をも変えようとしているところから、その“党主席”の復活を提言した習氏の思惑が、長期独裁体制の樹立であることは言うまでもありません。国家主席や党総書記には2期までとする制限があり、現制度のままでは習主席は、引退せざるを得ないからです。現代における最高レベルの医療を施すことで同氏が100歳まで長生きをするとすれば、中国国民は、終身独裁制の下で30年以上にわたる暗黒の時代を生きることとなりましょう。
そして、パーソナルカルトを伴う習近平長期独裁体制の成立に加えて、懸念されるのは、中国共産党という組織を世界支配の道具とすることです。かつて、ソ連邦が東側陣営の盟主となり得たのは、全世界の諸国に設立された共産党を陰から動かし、コミンテルンと呼ばれた国際組織で束ねることで、国境を越えた活動を指令することが可能であったからです。乃ち、政党とは、それが国家の枠組を越える時、いとも簡単に内政干渉、あるいは、外国支配の手段となり得るのであり、ソ連邦は、それを実行しているのです。ソ連邦なき今日、最後に残った“共産主義帝国”である中国が、類似する手法で世界支配を狙っても不思議ではありません。日本国内では、蓮舫民進党代表の二重国籍問題が批判を受けましたが、仮に、中国共産党が国籍条項を設けていないとすれば、中国国籍を保有してはいないものの、何処の国でも中国共産党の党籍を有する政治家が存在するかもしれないのです(二重国籍ではないが、極めて危険な存在…)。
東アジア情勢が緊迫する中、日本国政府は、中国共産党のリスクに対しても、予め対応策を講じておくべきではないでしょうか。中国における習主席を頂点とする長期独裁体制の成立は中国一国の国内問題に留まらず、その際限なき支配欲ゆえに国際法秩序全体を揺るがしかねないのですから。
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