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2017-08-02 00:00
国際化とこれに対する一部市民の反発について
真田 幸光
大学教員
東西冷戦が終結、その後、米国の一国主義(ユニラテラリズム)が拡大し、「言語、通貨、法律、ものづくり基準、そして、会計基準」の国際標準の英米化が「グローバル・スタンダード」の名の下に世界に浸透、その後、1997年のアジア通貨危機と1998年のロシア金融危機を経て、世界に「国際標準と銘打った、実は英米化」が拡散していた1990年代後半に、「世界貿易機関(WTO)」の年次総会などの国際会議に、平和的活動を行う各種団体が押し掛け、「米国、そして、強者となる大国の標準を一方的に世界全体に押し付けるべきではない」と主張し、活動していましたが、WTOは、国際会議として「英米流の国際標準化」を事実上、推し進めました。
そして、私はその結果として、世界の一部には、「いくら平和裡に、違いを共に理解しながら、世界各国の良いところを最大公約数にして、国際標準を構築していこうと主張しても、公式的な国際会議に於いては、所詮は強者の論理、大国の論理でしか進まない」と諦める勢力が出てしまったと見ています。そして、その一部勢力の、更に一部の中には、「強者の論理で国際標準を押し付けてくることに対しては、もはや、武力を以って対抗するしかない」との考えと動きが起こり、これが、今日まで続く、そして、世界が悩む、「テロとの戦い」の遠因となったのではないかとも考えています。
さて、こうした中、ドイツ北部ハンブルクの警察当局は、去る7月7~8日に開催された主要20か国・地域(G20)首脳会議に於いて、会議に抗議するデモ隊が活動し、そのデモ隊と警察が衝突した結果、警察官476人が負傷したと発表しています。私の得た情報では警察官の負傷者数しか分かりませんでしたが、多分、デモ隊の方にも負傷者は出ていましょう。こうした状況を見ていて、私は、前述した、1990年代後半のWTOの国際会議に於ける市民運動のことを思い出さざるを得ません。そして、この民間デモ隊は、実際に「貧富の格差拡大に繋がったことの背景には、行き過ぎた、各地の標準を蔑ろにした、グローバル化がある」と主張しており、反グローバル化や反資本主義を掲げる人たちが多く参加しているのであります。更に、この抗議活動には、これをチャンスとばかりに、極左や無政府主義者も加わり、一部が暴徒化しています。そして、現地警察は、G20会議開幕前日の6日夜から8日の首脳会議閉幕後まで、市内で車が燃やされたり、店舗のガラスが割られたりする事件が頻発、計186人を拘束したとも発表しています。
暴力は絶対にいけません。しかし、世界を率いるリーダー達は、もっと、相対的弱者となる一般庶民の声を聞きつつ、文化や歴史、宗教、風俗、習慣など、様々な違いを、一旦、尊重した上で、最大公約数を探し、それを、真の国際標準としていかないと、世界は更に深い対立の構図となり、国際化どころか、世界は再び、少なくとも一旦は分裂してしまうのではないかと私は危惧しています。そして、最悪は、戦争や紛争を背景とした分裂となってしまうのではないでしょうか。懸念が募ります。
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