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2017-07-21 00:00
(連載2)奇妙なキッシンジャー元国務長官の日本嫌い
倉西 雅子
政治学者
第3に、当時、将来的には、同氏は、日米同盟の解消を前提とした米中同盟さえ想定していた節があるそうです。しかしながら、この構想も、アメリカの主敵がソ連邦であったことを思い起こしますと、奇妙と言わざるを得ません。何故ならば、キッシンジャー氏自身が、敵の敵は味方の論理で現実主義に徹し、米中国交正常化に向けて動き出していた時期なのですから、対ソ戦略を最優先とすれば、日米中の多国間同盟を提案するほうが合理的であるからです。
キッシンジャー氏が対ロ戦略として中国に接近していたのなら、日米中でロシアを牽制した方が効果的であり、日中国交正常化は、むしろ歓迎すべきシナリオであったのではないでしょうか。また、仮に、キッシンジャー氏の言うとおりに、米中が手を結んで日本国を敵視した場合、当然に日ソ接近の可能性は高まります。当時の中国の脆弱な軍事力と日本国の経済力を考えれば、“日ソ同盟”の出現は、米国にとりましては不利であったはずなのです。
以上の諸点からしますと、キッシンジャー氏の日本嫌いの理由は矛盾に満ちています。となりますと、同氏の語る理由は後付けに過ぎず、真の要因は、別のところにあると推測されます。その理由を特定することは困難ですが、ナチス支配を逃れてドイツからアメリカに移住した経歴からしますと、私怨による日本嫌いである可能性もありますし、また、キッシンジャー氏の背後には、国際情勢の全般的なコントロール、あるいは、中国利権に関連した何らかの勢力の思惑があったのかもしれません。
キッシンジャー氏の日本嫌い、否、中国贔屓の真の理由の探求こそ、今日のチャイナ・リスクの起源を解明する鍵が潜んでいるようにも思えるのです。(おわり)
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