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2017-07-20 00:00
(連載1)奇妙なキッシンジャー元国務長官の日本嫌い
倉西 雅子
政治学者
ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官と言えば、ニクソン政権時代に米中国交正常化への道筋を付けた政治家として知られています。93歳の高齢ながら今日なおも隠然たる影響力をホワイトハウスに及ぼしており、外交顧問として迎えているトランプ大統領もその例外ではありません。
そのキッシンジャー氏ですが、最近、ネット上でキッシンジャー氏は筋金入りの日本嫌いとの説を目にしました。その理由は、田中角栄政権による日中国交正常化にあり、“アメリカを出し抜いた日本国は裏切り者である”とする認識があるそうなのです。しかしながらこの日本嫌いの理由、あまりにも支離滅裂なように思えます。
第1に、アメリカの同盟国であって、同国に先んじて中国と国交を正常化したのは、日本が最初の国ではありません。1949年10月の建国から僅か半年あまりを経た翌50年の1月には、イギリスが西側諸国として初めて中華人民共和国を国家承認しています。フランスも1964年には承認に踏み切っておりますので、国交正常化を理由に日本ばかりが“裏切り者”扱いされるのでは筋が通りません。
第2に、キシンジャー氏は、日本国があたかもアメリカの頭越しで中国と交渉を開始したかのようにみなしていますが、1972年の日中国交正常化に先立つ1970年頃には、中ソ関係が対立への転換したことを背景に、米中関係も水面下で改善が模索されていました。この時期、カナダ(10月)やイタリア(12月)も、中国との関係を正常化させています。1971年3月には、キッシンジャー氏自身が大統領補佐官の肩書でニクソン大統領の密使として北京を訪問しており、日中国交正常化が同氏にとって“青天の霹靂”であったはずもないのです。同年7月15日のニクソン大統領の訪中が、米ドルの金兌換の停止と並んで“ニクソンショック”と呼ばれたように、アメリカの対中政策の転換に驚いたのは、日本国政府の方であったかもしれません。(つづく)
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