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2017-07-07 00:00
(連載2)日EU経済連携協定
緒方 林太郎
衆議院議員(民進党)
「和牛」についてはかなり一般名称化しており、世界に日本産でない「wagyu」が既に相当に広まっていますので(例:Australian Wagyu)、今更地理的表示で保護する事は難しいようです(カマンベールという名称をフランスで保護しようとしたら既に一般名詞化しているのでカマンベールは保護されないというのと同じだと思います)。ただ、「スコッチ・ウィスキー」が地理的表示で保護されているのであれば、日本茶、日本酒くらいは何とかならないかなという話です。
現在の交渉でEUからはかなり大量の地理的表示を保護しろ、と言ってきているはずです。特にフランス、イタリアあたりはうるさいです。逆に先日、デンマーク政府関係者と話したら、あまり思いがありませんでした(逆に豚肉には強い思いがありました)。いずれにせよ、この件では向こう側の取り分が大きいのですから、我が方も少しくらい無理を言って良いのではないかと思います。
あと、日本はEUとの交渉開始時点で「前払い(down-payment)」をしています(公正性を期すため、これは民主党政権時にやった事を明記しておきます)。主なものとして、(1)先進安全自動車技術指針の見直し、(2)情報を一元的に英語で提供する政府調達の運用改善、(3)建築用木材の基準強度に関し欧州規格との同等性、(4)医療機器の品質管理基準を国際基準に整合させる、といった話です。交渉入りの条件として、日本はこれらを約束しています。
最近、日EUのEPA交渉について色々な人と話した際、この「前払い」の話をしたのですが、与野党含め、誰も本件を覚えていないようで一様に驚いていました。TPPの時は「前払い不可」でかなり盛り上がったのにな、といつもその格差に驚きます。交渉入り前にこの譲歩をしたことは、当然、交渉結果全体のバランスの中で勘案されなくてはなりません。そこは役所側に釘を刺しておきました。TPPが大変な交渉であるのと同じくらい、EUとの交渉も大変です。それにも関わらず、国内の関心が格段に違う事にとても違和感があります。国会で鋭意議論していきたいと思います。(おわり)
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