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2017-07-05 00:00
米中対立の行方
倉西 雅子
政治学者
南シナ海では、中国による一方的な軍事拠点化は収まる気配はなく、この動きを牽制するためか、アメリカも航行の自由作戦を再開し、パラセル諸島のトリトン島12カイリ内を米海軍艦隊が航行したと報じられております。
4月初旬の習金平国家主席の訪米を機に、米中関係は、対北制裁協力を軸に一定の“緊張緩和”が図られてきました。選挙遊説において対中強硬策を打ち上げてきたトランプ大統領も、中国に対しては宥和的な発言が目立ち、為替操作国認定も見送られています。しかしながら、6月末ごろから両国の関係は再び緊張の度を強めております。
この時期における米中対立の再燃の背景を考えますと、習主席訪米の際の「百日計画」に思い当ります。「百日計画」とは、経済分野における米中間の貿易不均衡を是正するために設けられた行動計画とされ、主として経済面における米中関係の改善を約した合意文書とされています。その一方で、経済面における「百日計画」の他に、公開はされてはいないものの、米中両国は政治面における「百日計画」を取り交わしているとの指摘があります。後者の「百日計画」とは、北朝鮮制裁に関する米中合意であり、百日間の期限の間に、北朝鮮に対する経済封鎖を手段として中国が北朝鮮の核・ミサイル問題を“兵糧攻め”で解決するというものです。
仮に“対北制裁百日計画”が存在するとしますと、期限切れとなるデッドラインは、7月10日前後となります。そして、中国の対北制裁がポーズに過ぎず、実質的には何らの効果も挙げていないとなりますと、アメリカは、再度、単独主義に回帰すると予測されるのです。北朝鮮の核・ミサイル開発に関わった銀行や個人に対する制裁発動や韓国の文大統領の訪米(釘を刺したのでは?)などは、単独主義回帰への助走なのかもしれません。トランプ大統領は、既に忍耐の時期は過ぎたと述べておりますが、百日の期限切れに対しては、日本国政府も、有事をも想定した対応を急ぐべきではないかと思うのです。
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