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2017-07-04 00:00
コモン・ローについて
真田 幸光
大学教員
私は第二次世界大戦以降の法体系、就中、国際金融分野の法の根拠は、今や英米法になっていると認識しています。そして、根拠法が英米法となれば裁判権も英米の裁判所に移され、実際に仲裁などの実務を行う際にはこうした状況をしっかりと理解しておくことの重要さは更に増していきます。そして、英国法の基本はコモン・ローとなっているということを私たちはまた、認識しておかなくてはなりません。
コモン・ロー(common law)は、「多義的な概念である」と言われており、また、「英国法に於いて発生した法概念」とも言われ、中世以来イングランドで国王の裁判所が伝統や慣習、先例に基づき裁判をしてきたことによって発達した法分野のことを指しています。また、この場合はエクイティを含まない概念となるとされています。即ち、コモン・ローは、イングランドのコモン・ロー裁判所が下した判決が集積してできた判例法体系であり、これに対して、エクイティは、コモン・ローの硬直化に対応するため大法官(Lord Chancellor)が与えた個別的な救済が、雑多な法準則の集合体として集積したものとされています。
そして、この概念によれば、「記録のない時代からイギリス人を律してきた慣行(usages)と慣習上の準則(customary rules)で成り立ち、私人間の正義(private justice)と公共の福祉の一般原理で補足され、国会制定法で変更を受ける場合がある」とされています。こうしたことから、コモン・ローは完成された理性(the perfection of reason)であり、「神の法」とされているのであります。更に、広義では、大陸法系の対概念として英米法系を示すものとして用いられています。更には、英国領またはその植民地であった歴史を持つ国々(アングロ・サクソン系諸国)に於いて主に採用されている法体系を指し、エクイティを含むとされています。
コモン・ローは普通法と訳されますが、同じく普通法と訳される、ローマ法や教会法における「一般法」(ユス・コムーネ)、ローマ法を継受したドイツ法における「共通法」とは異なる概念となっていると言われています。また、教会法との対比では世俗法を、制定法との対比では不文法を指す用語でもあります。こうしたことを知りつつ、世界に於ける法治社会の現状と今後を更に分析していく必要があるかと思います。法治社会を生きることは大変です。
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