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2017-06-09 00:00
危険すぎるトランプのイラン外交
川上 高司
拓殖大学教授
イランの総選挙が行われ穏健派のロハニ氏が強硬派を押さえて再選された。これは明らかにイランがこれまでの路線を継承するというメッセージである。イランは核合意に沿っていくという意志表示である。
問題はそのイランのメッセージをアメリカがどう受け止めるかである。ロハニ氏が再選後に「アメリカとの数十年間にわたる関係は山あり谷ありだった。アメリカはいつもイランを敵対視してきたのだ」と冷静に語った通り、イランは常にアメリカに秋波を送っていたがアメリカがそれに応じなかった。オバマ前大統領はイランの秋波を正しく受け止めたが、トランプ大統領はイランの秋波を受け付けないつもりのようだ。その一方でトランプ大統領はサウジアラビアとイスラエルには多大な秋波を送っている。サウジアラビアとは経済的な関係を拡大するつもりだ。だが、サウジアラビアへのあまりにも極端な傾斜は別の危険を生み出しかねない。サウジアラビアへの肩入れは中東地域でのスンニ派への肩入れとなり、スンニ派が勢いを持つことになる。
アルカイダはそもそもサウジアラビアのスンニ派を源とするグローバルなテロ組織である。ISISもまた周辺のスンニ派国家の支援を受けて拡大したテロ組織である。一方のシーア派過激派はレバノンのヒズボラがあるが、ヒズボラは対イスラエルとの闘争に特化しておりリージョナルな過激派である。イラクのサドル師のグループも活動はイラク国内だけである。スンニ派が世界に及ぼす影響は圧倒的に大きいのである。アメリカがサウジアラビアに傾斜しイランを孤立化させればスンニ派とシーア派のパワーバランスが崩れていく。それは中東情勢はもちろんシリア内戦にも多大な影響を与えることになる。中東情勢が不安定になりかねないのである。
トランプ大統領の中東政策が歴史的地域的宗教的に繊細な中東の背景を踏まえているのかは図りかねるが、現在の言動を見ていると目前の成果に囚われているようできわめて危うい。テラーソン国務長官が「イランとのチャンネルは開いている」とコメントしているのが一筋の光である。
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