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2017-05-30 00:00
(連載2)フランス革命の後遺症
倉西 雅子
政治学者
好都合なことに、フランス革命の理念は、他の諸国にも熱烈な賛同者を獲得することとなり、かのゲーテさえも、当初はフランス革命を絶賛していたのです。“ここから、そしてこの日から、世界史の新しい時代が始まる”として(ヴァルミーの戦におけるフランス革命軍の勝利を祝して…)。
フランス革命戦争は、やがてフランス帝国による征服事業へと転化され、ナポレオン体制の成立が他のヨーロッパ諸国を帝国支配の頸木に繋いだのは無視できない歴史的事実です。普遍的な価値には国境がありませんので、フランス革命の理念は、普遍的価値の下において周辺諸国の支配を許す正当化イデオロギーとして機能したのです。そして、ナポレオン時代にあっては、革命の理念は対外的な膨張主義としてヨーロッパ全土に戦禍をもたらします。
今般、フランスが同理念を再確認し、それをさらに追求するとなりますと、革命の理念は、今度は、外ではなく、内に向かってフランスに禍の渦をもたらさないとも限りません。何故ならば、理念の普遍性には、外に向かっても内に向かっても、境界の概念が存在しないからです。つまり、同理念を徹底すれば、フランスは、自らの国境を全世界の人々に向けて開放せざるを得ないのです。
今日のフランスが“自由、平等、博愛”を高らかに宣言することは、同理念の尊重を条件にするにせよ、EUのみならず、全世界の移民希望者に対して受け入れを表明するに等しいこととなります。マクロン大統領は、選挙期間にあっては多様性の尊重に基づく移民容認政策を公約に掲げておりましたが、果たして今後とも、自らの理想を貫くのでしょうか。フランス革命の理念は、理想と現実の間で人々を引き裂き、自己矛盾との闘いを強い、そして、周囲の人々を巻き込むという意味において、今日に至るまで、フランスとフランス国民を苦しめ続けているように思えるのです。(おわり)
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