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2017-05-26 00:00
ロシアとイランの関係について
真田 幸光
大学教員
大国・ロシアと大国・イラン(ペルシャ)の関係は、昔からの大国同士であるが故、必ずしも「友好国」とは言えないと私は認識しています。しかしながら、現状では、米国との関係を軸として、ロシアとイランの関係は、「敵の敵は味方」的な関係ともなっているのではないかとも思います。また、直接的な友好関係を持たなくとも、例えば、ロシアとイランが一定程度の連携をしながら、北朝鮮に対して水面下の支援をしているのではないかとの推測も国際社会の一部には出ていると私は聞いています。確証はありませんが、可能性はあるかもしれません。
それでは、現状のロシアとイランの関係はどのようになっていると見られているのでありましょうか? 私の認識しているところでは、例えば、イランにとってロシアはトップ10に入る貿易相手国であり、イランの全輸入の10%弱をロシアが占めており、それなりの経済関係を維持しています。また、昨年より制裁が解除されたとはいえ、米国や欧州連合がイランに対する厳しい姿勢をまだまだ取っている中、中国本土やロシアとの関係を強化しつつ、イランは国際社会に於けるパワーゲームを展開しているものとも思われ、更に、中国本土のイランに対する影響力を牽制する上から、イランはロシアとの関係を一定程度、重要視しているものと思われます。また、イランはロシアと同様に、トルコ地域に対する外交的野心を持っているとも見られています。そしてまた、ロシアとイランは中国本土と共に、中央アジアに於ける米国の政治的影響力の拡大を牽制するということを軸とすると、共通の利害関係を持つとも見られており、この結果として、イランは2005年には中国本土とロシアが主導する上海協力機構のオブザーバー国ともなったとの見方もあります。尚、イランのこの上海協力機構への参加は、1979年以来イランが有した外交関係でももっとも広範なものと見られており、イランのパワーゲームの一つの表れとも言われています。
しかしこうした一方で、ロシアは欧州との関係緊密化にも色気を示しており、イランを実は軽視しようとしている、イランはイランで、ブーシェフルの原子炉建設計画終了の際にロシア側の度重なる作業遅滞に不満を表明しており、ロシアのイランに対する外交姿勢に不快感を示しているとの見方もあり、ロシアとイランの関係は思っているほど緊密ではないとの見方も強くあります。しかしそれでも、軍事的には、イラン空軍が完全に西側諸国機から構成された革命前とは異なり、欧米の制裁によって、現在のイラン空軍機、そして民間航空機ともにロシア製航空機の割合が増しているとも見られ、こうした結果として、「ロシアとイランの軍部筋は、一定の連携関係にある」との見方が一部には根強くあることも一方でまた事実であります。
こうしたことが、ロシアとイランの水面下での北朝鮮支援、就中、核技術供与と核兵器製造のための原材料供与に関して、ロシアとイランが一定程度関与しているのではないかとの見方にも繋がるところであります。いずれにしても、今後も、ロシアとイランの関係については、きちんとフォローしていきたいと思います。
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