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2017-05-16 00:00
(連載2)マクロン政権の行方
倉西 雅子
政治学者
第1に関連して第3に、新自由主義者が利益を得ている事業の一つは、“移民ビジネス”や“企業合併ビジネス”です。日本国における新自由主義の代表格である竹中平蔵氏がパソナの会長であるのは偶然ではありませんし、国境を越えた企業合併や買収の増加は、多国籍企業が増加すると共に、資金を提供する金融部門にとりましても利益を得るチャンスとなるのです。
第4に、グローバルな競争において敗者となった人々への対応をめぐりましては、政府が、失業者に対して手厚い職業訓練等を実施し、成長産業への人材シフトを促すとされていますが、そもそも、雇用側の企業は、外国人や移民を優先的に雇用する方針を採っておりますので、新旧産業の間に勤務内容において著しいギャップがある場合には、このギャップを埋めるのは至難の業です。工場で組み立て作業を行っていた勤労者が、工場閉鎖によって職を失った場合、たとえ一定期間の職業訓練を受けたとしても、人材が不足気味とされているAI産業の技術開発部門において職が見つかるとも思えません。
第5に指摘し得ることは、公益事業の民営化もまた、新自由主義政策の基本路線であることです。マクロン氏は、貧困対策の財源として5年間で12万人の公務員削減を主張していますが、おそらく、民営化にともなっての人員削減を実行に移すと予測されます。民営化されれば、当然に、効率性重視の大規模なリストラが実施され、全土に失業者が溢れることでしょう。しかも、民間企業ともなれば、もはや公務員ではありませんので、被雇用者をフランス国籍に限定する義務もなくなります。
以上に主要な点を挙げてみましたが、何れもが、統合とは正反対の方向性を示しています。新自由主義政策は、“移動”や“格差”を利益の源泉としているため、国家や国民に対して強力な分解力として働くのです。このように考えますと、新自由主義者に統合力を期待することは、不可能に近いのではないかと思うのです。(おわり)
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