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2017-05-15 00:00
(連載1)マクロン政権の行方
倉西 雅子
政治学者
今般のフランス大統領選挙は、フランス国内の分裂の深刻さを浮き彫りにしたとも評されております。これを裏付けるかのように、当選を決めたばかりのマクロン氏は、パリ市内において“マクロン辞めろ”の大規模デモに見舞われたと報じられています。
選挙期間を通じて深まった国内分裂を前にして、マクロン政権の重要課題は、フランスに和解と連帯、即ち、統合をもたらすことにあると指摘されております。しかしながら、氏が心酔する“中道”という名の新自由主義に対して統合力を期待することには無理があります。何故ならば、新自由主義とは、国家を消滅させることによって、はじめてその理想を実現することができるからです。新自由主義者は、全世界を一つの自由なグローバル市場と見なし、国境という障壁に阻まれることなく自らの事業を最適に分散化、かつ、もの、サービス、資本、人、技術、情報など自由に移動させることで、自らの利益を最大化することを目指します。新自由主義の方針に従えば、マクロン氏の唱えた“競争力の強化”は、以下の結果を招くことが予測されます。
第1に、フランスが、労働コストにおける国際競争力を回復するには、賃金レベルの低下をはかるか、安価な移民労働力を受け入れるしかありません。先進国における競争力の回復とは、即ち、国民の生活レベルの低下と移民の増加と同義となるのです。また、事業の最適分散の原則に従えば、大量失業を伴う製造拠点の移転も、民間企業に対して奨励すべき政策となります。
第2に、新自由主義者は、民間企業に対して新たな成長産業分野への投資を促します。しかしながら、新自由主義者の理想が、国籍を問わない徹底した能力主義と多様性の尊重である限り、グローバル企業に雇用される人材とは、何れにしても外国人が多数を占めることになります。一般のフランス国民の雇用のチャンスは、減少こそすれ、増加するとは思えないのです。(つづく)
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