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2017-05-08 00:00
(連載1)現行の世界秩序の変化の中での米国の動きについて
真田 幸光
大学教員
しばしば申し上げておりますが、私は、「現行の世界秩序」が崩壊していくトレンドに今はあり、時代は、よく分からないと言う「混沌chaosの時代」から、秩序が崩れていくという「混乱disorderの時代」へと、そして、ひょっとすると混乱が更に深まり、無秩序となる「無政府状態anarchyの時代」にまで、悪化する危険性を孕んでいると考えています。
そして、こうした混沌の深まりを導く背景として、(1)覇権国家間の対立の深まり、(2)国の枠組みそのものの変化の可能性、(3)ISやボコハラム、アルカイダやタリバンに象徴される過激派組織の動き、などがあると考えています。更に、最近になって、「現行の世界秩序の変化」を直接的にイメージさせる現象としては、(4)英国内で見られるスコットランドの英国からの離脱の動きがあげられ、これは、大航海時代の終盤に覇権を握り、第一次産業革命の勢いにも乗って現行の世界秩序の根幹を支えてきた英国そのものの弱体化を齎し、英国連邦の威信が低下する中、世界の「現行の世界秩序の変化に対する不安」は急激に高まるのではないか。
また、そうした中、(5)その英国のEU離脱=Brexitに続いてフランスのEU離脱=Frexitの可能性も指摘され、これらの動きは、欧州連合の崩壊の可能性に真実味を帯びさせていくようになる。その結果、EUが発行する通貨・ユーロの信認低下にも繋がり、こうしたことから欧州の金融秩序が崩れ、ひいては、国際金融秩序の大幅な悪化に繋がり、世界経済の大混乱が「現行の世界秩序の変化の明確なトリガーとなる」のではないかと見ております。私自身はこうした視点、問題意識から、現在の最大のチェック・ポイント地域は、米国でもアジアでもなく、「欧州である」とも考えています。
さて、一国の政権は、その実態を見ると、必ずしも堅固な一枚岩にはなっていません。それは、米国のトランプ政権も同様かと思います。そして、そのトランプ政権を支える柱の一つである国際金融筋は、前述したような国際情勢の中にあって、これ以上の国際社会の混乱を基本的には望んでいない。ただでさえ、過激派の欧州に於けるテロ活動の活発化には手を焼いており、北朝鮮まで混乱を拡大させていくことは総合的には不利益であると考えていると思われます。(つづく)
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