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2017-04-26 00:00
トランプ政権の軍事・外交政策姿勢と米国の威信について
真田 幸光
大学教員
私は今の米国には国際社会を一国で押さえ込めるほどの総合的な国力は無いと見ています。そして、こうした状況にあるからこそ、米国は国際問題をマルチラテラルには解決出来ず、先ずはバイラテラルに解決した上で、マルチラテラルの解決を目指す姿勢を示し、例えば、貿易や投資と言った通商問題に関しては、バイラテラルで解決しようとしていると見ています。そしてまた、トランプ大統領は、米国の国力が落ち、威信低下が見られているからこそ、むしろ、米国の強さを意識的に世界中に示そうと、やり得る範囲で米国単独の強硬姿勢を示し、国際社会に米国の強さを示そうとしていると見ています。昨今のシリアや北朝鮮に対する強硬姿勢もこうした基本姿勢の中から生まれているのではないかとも見ています。
従って、日本国内の一部で最近示されている、「今般の米国によるシリアの軍事施設に対する巡航ミサイル攻撃は、米国のトランプ政権の一国主義的=ユニラテラリズム=傾向を浮き彫りにした」との見方に対しては、表面的には賛成出来ても、その本質から見ると同意できないとの考え方を私は持っています。そして、「国際社会との協調や法律上の正当性よりも、自らが考える国益を最優先にするのがトランプ大統領の基本姿勢であり、オバマ前政権との対比が鮮明である」との見方が日本国内で出ていることについても、「トランプ大統領は、米国の威信低下をもたらした前政権の政策調整をしている」との立場を取りつつ、粛々と米国威信復活に突き進むと私は考えます。
因みに、こうした強い米国経済復活に向けた政策の下、世界に拡散されている米ドルは一旦、米国に回帰する、従って、中長期視点から見れば、米ドル高に向かう可能性は高いとも見ています。いずれにしても、こうした背景の下、トランプ大統領は、ロシアや中国本土を含む国際勢力の反発や不満が「限定的である」と見て、シリアでの化学兵器使用が明らかになってからは直ぐに、国際協調を重視せず、米国の国際社会に於ける威信復活を目指して、時間を掛けずに攻撃を実行したと考えるべきであるとも私は考えています。そして、その上で、トランプ政権は、国連の安全保障理事会で、武力行使が認められる決議を得る為の他国への働きかけを行う努力もせず、国連憲章が認める自衛権の行使という考えを広く解釈したのか、法的な裏付けが明確でなくても、人道的な見地から軍事介入したのか、その明確な説明をせずに、今回の軍事的行為に出て、米国の威信復活を優先したと考えるべきであると思います。
果たして、こうした米国・トランプ政権の軍事・外交姿勢とその具体的な動きが、日本の平和、そして世界の平和に繋がるのか、私には疑問も残りますが、いずれにしても、今の米国の動きをもう少しきちんと理解した上で、日本政府としても対応していくべきであると私は考えています。
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