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2017-04-21 00:00
(連載1)内閣委員会質問(医療ビッグデータ法)
緒方 林太郎
衆議院議員(民進党)
内閣官房作成の「医療分野の研究開発に資するための匿名加⼯医療情報に関する法律案」の審議が行われました。私も質疑に立ちましたが、質疑よりもむしろここに至るまでの方が長かったので少し経緯も含めて説明します。法案は通称「医療ビッグデータ法案」と呼ばれています。概要は、医療機関等が保有する医療情報を、認定された事業者が匿名加工し、その集合体であるビッグデータを医療研究の用に供するといったものです。基本は2年前に成立した改正個人情報保護法と同様で、同法において、個人情報を加工して誰のものか分からなくする匿名加工情報というカテゴリーが作られた事を医療分野で更に発展させるというものです。
基本的には、我が方も賛成でして、こういうビッグデータを活用する事で色々な医療分野での研究開発が進む事を望むものです。そういった中、党内の会議で概ね以下のような問題提起がありました。我が党に対して色々な意見をお持ちの方がおられると思いますが、本当に党内の会議では良い意見がたくさん出て勉強になりました。特に参議院の先生方の知見には舌を巻きました。
例えば、学校保健安全法(学校における健康診断)、高齢者の医療の確保に関する法律(特定健診)、労働安全衛生法(事業者検診)、妊婦検診及び乳幼児健診(母子保健法)といった法律で行われる健診で得られた情報がどうなるのか。事実上義務的に受けるものもあり、そのデータが自分達の知らない所で使われているのであれば懸念は大きい。その観点から、オプトアウト(自分の医療情報は使われないようにするための申し出)の規定はとても重要。また、オプトアウトは簡便にしないと、高齢者に複雑な手続きを求めても形骸化するだけ。次に、法案内では、個人に対する不当な差別等に繋がらないようにするための規定は盛り込まれているが、ビッグデータとなった結果として地方自治体、事業所その他の各種団体に対する不当な差別が生じる事があり得る(例:○○市は●●の疾患が多いらしい、という評判)。そこへの配慮はどうなっているのか。最後に、医療機関等→認定事業者(匿名加工をする事業者)→利活用者と情報が渡っていく中で、情報の扱い、対価の金銭面等でおかしな事が起こらないようにすべき。また、利活用者が目的外使用をすることのないようにすべき。
党内で本法の責任者である北神圭朗議員の命を受け、内閣委野党筆頭理事である私がこれらの問題意識を法律に盛り込むための修正協議に臨みました。与党の平井卓也筆頭理事、福田峰之理事(法案担当)とかなりの回数、議論を重ねました。最終的に纏まった修正案(要綱、案文、新旧対照表)、そして附帯決議はこれだけ読んでもなかなか分かりにくいのですが、上記の問題意識は完全に取り込まれています。今回の修正や附帯決議にあるような問題意識は、政府側にも勿論あったのですが、法文上明確でなかったのです。その点を明確にさせ、かつ質疑で更なる明確化をする方向性を作りました。この手の修正協議で満額回答というのはあまり例がありません。自民党の平井筆頭理事、福田理事や内閣官房、衆議院法制局、衆議院委員部、色々な人にお世話になりながら修正協議を無事終える事が出来ました。(つづく)
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