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2017-03-29 00:00
北朝鮮核問題
山崎 正晴
危機管理コンサルタント
日本は森友学園騒動で持ちきりだ。真相は藪の中だが、テレビ画面から安倍首相の苛立つ気持ちが伝わってくる。今日本はそんな些末な問題に関わっている場合ではない。3月6日、北朝鮮が4発同時に発射したミサイルの内、石川県の能登半島の北北西約200キロの海域に落下したものを含む3発が、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落ちた。方向を変えれば、山口県の岩国米軍基地に届く飛距離だ。北朝鮮自身が、今回の発射実験の標的は在日米軍基地と明言している。これを受けて、菅義偉内閣官房長官は9日の記者会見で「北朝鮮のミサイルが現実の脅威となっている」と強調した。
専門家によれば、今回の発射実験の注目点は「4発同時の着弾」で、日本の迎撃能力を上回る数のミサイルを同時に発射する「飽和攻撃」能力を示すものだという。分かりやすく言えば、北朝鮮のミサイル攻撃能力は、現在の日本のミサイル防衛網では対処不能なレベルにまで達したということだ。それに追い打ちをかけるように、3月23日付の米FOXニュースは、北朝鮮が数日以内に新たな核実験に踏み切る可能性があると伝えている。こんな中、米国のティラーソン国務長官は、3月17日に行われた韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との共同記者会見で、米国は1995年から食糧やエネルギー支援のために13億ドル(約1500億円)の資金を北朝鮮に提供して来たが、非核化は実現しなかったと述べ、「過去20年間の対話の試みは失敗」だったと総括。前政権による「戦略的忍耐の政策は終わった」として、戦略の転換を示唆、軍事的な対応について「あらゆるオプションを検討する」との考えを示した。
北朝鮮に対する軍事攻撃に伴うリスクは計り知れない。米国による先制攻撃は、即日本と韓国への報復攻撃を招き、日本に潜伏する北朝鮮工作員によるテロも起こるだろう。大量の難民も発生する。米国によるイラクのフセイン政権転覆がISを生み、シリアのアサド政権転覆工作の失敗が、多数の民間人の死者と400万人を超える難民を生んだ。これまでの米国による軍事作戦の大半が悲惨な結果に終わっている。ではどうしたらよいのか。私の案は、北朝鮮による核保有を認め国際社会に招き入れることだ。よく考えてみれば、北朝鮮は国際社会にそれほどの迷惑をかけていない。日本や韓国からの拉致問題、海外でのテロ、武器や覚醒剤の密輸、偽ドル紙幣の製造などの悪さを行っているが、南北朝鮮の統一願望を別にすれば、領土拡張の野心を持っているわけでもないし、他国の政権を転覆させる意図もないようだ。北朝鮮が米国に求めているものは、自国と現体制の存続と安全の保障に過ぎない。
そもそも、核兵器を保有すること自体は国際法違反ではない。北朝鮮は2003年に核拡散防止条約(NPT)から脱退しているから条約違反でもない。現にNPT非加盟のインドとパキスタンは核を保有しており、イスラエルも核保有だと信じられている。もちろん、北朝鮮に核を持ってほしくはない。しかし、すでに持ってしまった以上、国際社会はそれを受け入れて、核保有国としての責任ある態度を求めるしかない。米国は過去20年をかけて試みた「北朝鮮の非核化」には失敗したが、核保有を認めることによる「北朝鮮との和解」への道はまだ開けている。
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