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2017-03-14 00:00
(連載2)米中の狭間で動く韓国の苦悩について
真田 幸光
大学教員
こうして、現行の韓国政府が、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「THAAD(サード)」の在韓米軍配備を進める中、これに反対する中国本土政府が韓国への「経済報復」を本格化させつつあると見られ、韓国経済の対中依存度に、韓国国内では改めて関心が集まっている。即ち、韓国は、その経済成長の中核の一つに輸出があり、その輸出の約4分の1が中国本土向けと対中依存度が高い中、中国本土政府の事実上の報復がエスカレートすれば韓国の打撃は避けられないと懸念しているのである。少なくとも、軍事的には米国に依存すべきとする韓国の現政権の判断に対して、次期政権が中国本土寄りになるとの期待感も含めた見方を示す中国本土政府が、韓国に対してこのまま圧力を加えていくと、韓国は米中の狭間で所謂「股裂き状態」ともなりかねない。
ここで、もう少しだけ詳細に眺めておきたい。韓国経済は、第二次世界大戦以降は、対米、対日貿易依存度が高かった。しかし、中国本土との国交を回復、その中国本土が「潜在的な消費者の数、潜在的な労働者の数」という視点から見た圧倒的な強みを徐々に発揮し始めた2000年代に入り、韓国にとっての最大貿易相手国は中国本土となり、また最大の直接投資相手国も中国本土となっている。こうした状況下、韓国にとっては、中国本土の経済発展の持続は最大の関心事となっているとも言え、更に、韓国にとっては、中国本土との共存共栄をより強固にしていく上では、貿易、直接投資の拡大は最も有効な方法であるとの認識の下、韓国政府が対中外交姿勢を強めつつ、対中経済関係を強化してきた中にあって、上述したような「中国本土との事実上の関係悪化=中国本土の韓国に対する牽制、圧力の拡大」は厳に回避したいところであろう。
韓国と中国本土の貿易総額は、中韓両国が国交を正常化した1992年には僅か64億米ドルであったが、今や中国本土は韓国の総貿易の約25%のシェアを占めており、韓国経済を牽引しているとも言える。韓国の対中貿易の特徴をみると、輸出、輸入共に部品などの中間財が占めるシェアが高く、加工貿易による輸出、或いは中国本土国内で生産活動をしている韓国企業との貿易が多いからと見られているが、昨今は「中国本土企業の実力向上を背景にして、韓国からの中間財の輸入を、中国本土は敢えてしなくてもよい状況になりつつある」とも見られている。そして、むしろこれまでとは逆に、中国本土製品が技術向上に伴い、最近は韓国が中国本土から輸入する製品が多くなってきており、主導権は韓国から中国本土に移りつつあるとも言えるのである。
こうした主客逆転の中では、既に中国本土政府は韓国に対して、その主導権を発揮するかのように、多くの商品分野でダンピング調査を実施しており、中韓両国で貿易摩擦が増える可能性もある。また、韓国に対する中国本土企業の投資も増加傾向を示しつつあり、こうした点からも、更に「主客逆転」が進む可能性があると見られているのである。このような状況に、上述したTHAAD(サード)配備と言う政治的、軍事的課題が中韓関係に起こり始めていることは、韓国政府にとっては正に「頭痛の種」となっているのではないだろうか。(つづく)
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