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2017-02-24 00:00
“プラットフォーム”を外資に席巻される日本国
倉西 雅子
政治学者
最近の日本経済には、一つの特徴を見出すことができます。それは、プラットフォーム型のビジネスの殆どが、外国企業に握られてしまっていることです。
この現象は、様々なビジネス分野で観察されます。まずSNSの世界では、日本企業の名は見えず、フェイスブックやツイッタ―は米企業ですし、しばしばトラブルが報告されているLINEは韓国系です。最近では、民泊ビジネスにおいてこの傾向が顕著となっており、最大手のAirbnbが日本市場で登録物件数を拡大させている一方で、中国系の進出も増加傾向にあります。日本企業も存在しないわけではありませんが、特に中国系の場合には、中国人が日本国内で不動産物件を取得し、民泊施設として提供する事例が多くを占めており、住民との間のトラブルのみならず、テロ、衛生、犯罪、密入国等に関する懸念も指摘されています。日本国内では、空き家数が急速に増加していますが、このままでは、日本人住宅の一戸当たりの敷地面積が広くなるよりも、外国人向けの宿泊施設として利用される可能性の方が高くなります。日本国政府は、外国人訪日客の数を2020年には4000万人に増加させるという大胆な目標を掲げていますが、日本国民の生活の質的向上よりも、訪日客を優先するのでしょうか。しかも、プラットフォームの多くは外国企業に押さえられていますので、経済効果としての利益の大半も、海外に流出するかもしれません。
プラットフォーム型のビジネスは、SNSであれ、民泊であれ、他者の所有物をネットワークで繋いでプラットフォームを構築し、それに自社の営業権を設定することで利益を得るという、いわば、“寄生”型のビジネス・モデルです。しかも、一般の観光用の宿泊施設とは異なり、人々の社会・生活空間と重なりますので、その影響は無視できません。そして、一旦プラットフォームが出来上がりますと、インフラ事業と同様に、独占的な地位を確立することも珍しくはないのです。
今後は、インターネットやスマートフォンを使った民間タクシーなど、同様のビジネスが登場するでしょうが、日本企業が、プラットフォーム型ビジネスに乗り出さないのには、何か理由があるのでしょうか。海外投資を呼び込むことばかりに熱心な日本国政府が、自国企業に対して“規制”をかけているとは考えたくないものです。プラットフォーム型ビジネスにはそれ自体にも問題がありますので、この際、ビジネス・モデルとしてのあり方を根本的に見直してみる必要があるように思えるのです。
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