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2017-02-03 00:00
イスラム教徒や中国の人口パワーは怖くないのか?
倉西 雅子
政治学者
アメリカのトランプ大統領が難民・移民の入国制限措置を実施したことから、ベルリンの壁の悲劇を経験したベルリン市長をはじめ、排外主義として各国から批判の声が上がっています。カナダのトルドー首相に至っては、“多様性は強み”として、難民歓迎の意向を示しております。
しかしながら、“多様性”とは、理想的な言葉のようにも聞えますが、この考え方には、テロリスト、犯罪者、敵意や恨みを持った人々、さらには、居住先の道徳観や社会習慣を否定する非寛容な人々をも無条件に受け入れてしまう危うさがあります。これらのリスクに満ちた思想や行動様式も、“多様性”の一言で相対化され、善悪やリスクの判断を越えてしまうのです。こうした多様性が抱えるリスクは、多数化の側面を加えるとさらに危険度が増します。
今般のアメリカの措置は、凡そイスラム諸国に集中していますが、現時点での世界におけるイスラム教徒の人口数は凡そ16億人です。現状では、キリスト教徒の数を下回っていますが、高い出生率から予測しますと、2100年には、世界最大の宗教人口となるそうです。また、一国のみで13億の人口を抱える中国も、一人っ子政策の廃止によりその人口は今後とも増え続けることでしょう。仮に、イスラム諸国並びに中国以外の諸国が、難民・移民受け入れ政策を実施、あるいは、継続するとしますと、あらゆる国の人口構成は劇的に変化し、殆どの諸国においてこれらの人々が人口において一定の割合を占めることとなります。しかも、イスラム教は異教徒に対して極めて非寛容な宗教ですし、中華思想も他者を見下す自己優越主義です。将来において起きる事態は、冷静になって考えてみますと誰もが予測できることなのですが、日本国を含めて政治家の多くは、国民分裂、歴史・伝統の断絶、そしてその先の国家喪失のリスクを正直に語ろうとはしません。
将来、“多様性”の理想は、人口が物を言う“多数”の現実によって打ち砕かれ、結局は、全世界が、多数者(イスラム教徒・華人)が報じる思想に染められるか、少数派に転落した人々は逆に迫害を受けることでしょう。この種のリスクは事態が表面化してからでは遅く、未然に防ぐに越したことはありません。個人レベルで見れば、難民や移民の中にはもちろん善人もおりますし、保護を必要とする人々もいるのでしょうが、集団レベルでは、多数は紛れもないパワーです。合理的に未来を予測すればこそ、危機を察知した国民が、自らの国や社会を破滅リスクから守ろうとするのは当然のことですし、また、その正当な権利があると思うのです。
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