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2017-02-01 00:00
(連載2)最近のフランス内政
緒方 林太郎
衆議院議員(民進党)
ここで感じるのが「中道的政治が流行らない事への懸念」です。政治のど真ん中にポッカリ穴が空いているような印象になります。例えば、右派の予備選で負けたジュペ氏は少し年齢が高いですが、右派から中道までを幅広く取り込める候補だったと思います。昔はテクノクラート臭さが嫌われていましたが、今は年季を重ね、重鎮感が出てきています。社会党予備選で2位だったヴァルス氏は中道色をあまり醸し出していませんが、右派にも食い込める可能性のある人物ではあります。
ただ、今回の左派、右派での予備選挙の結果、更にはル・ペン現象を見ていると、そんな「緩いメッセージ」を聞きたくないというフランス国民の現れなのではないかと思います。ここはBREXITしかり、トランプ現象しかりです。グローバリゼーションにより、世界中で経済的に、心理的に余裕が無くなり、バナナの叩き売りのように非現実的なポスト・トゥルースが広まってしまう。穏健中道的なメッセージは流行らなくなっています。人はそれが仮に嘘だと分かっていても、一時の爽快感と溜飲下げのため、その主張を選挙で支持してしまうというふうに見えてしまいます。
両大戦間にドイツで起こった現象と似通った事が世界中で起きているのでは、と懸念してしまいます。社会全体の閉そく感、自由の重さに耐えかねて、「一発芸」のようなもので一時の満足を得ようとするという事です。エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」でも読み返してみようと思います。なお、少しだけ大統領選挙の全体像について述べておくと、極右国民戦線のル・ペン党首が大統領で躍進しそうな可能性については、何か真新しい事のように報じられることが多いですけども、2002年フランス大統領選挙では既にル・ペン(今のマリーヌ・ル・ペンの父)が第一回投票で2位に着けて、第二回投票に進んだことがある事は想起しておく必要があります。シラク大統領(19.88%)、ル・ペン国民戦線党首(16.86%)、ジョスパン首相(16.18%)で僅差でル・ペン氏が第二回投票に進みました。勿論、その後第二回投票でシラク大統領が圧倒的な票で再選されます。
直近の全国的選挙である2015年12月の地方議会選挙で、国民戦線の全国得票率は27%を超えました。2つの地方では地方議会を取る寸前まで行きました。既に今回の大統領選挙で左派は候補が(いつも通り)分裂気味ですし、右派についても中道系候補が出てくれば票が割れるでしょう。下手をすると、第一回投票ではル・ペンがトップで来る可能性すらあり得ると見ています。(おわり)
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