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2017-01-20 00:00
(連載2)期待と不安が入り混じるインド・ビジネス
真田 幸光
大学教員
更にまた、現在のモディ首相は、インド政府がこれまで示してきた、規制の多い経済社会を転換し、国際社会に対して、インドのビジネス市場を少しずつ開き、この機を捉えて、一気に世界の注目を浴び、中国本土に向かっていた国際ビジネスの関心をインドに向けようとしていることから見ても、インドに対する国際社会の関心は高まってきていることは理解できます。実に魅力的であります。
しかし、詳細を見ると、どうでありましょうか。インドの一人当たりのGDP規模はまだまだ1,600米ドル強程度あり、「購買意欲は強くとも、その購買意欲を支える所得に不安が残る」といった状況にあり、インド国内の市場を攻めるに際しては、インド特有の各州の地域特性の大きさも意識しつつ、「しっかりと、ターゲットとなる地域と所得水準を基にした潜在的顧客層の絞込みを図ること」は現段階では重要でありましょう。
或いは、貿易規模は大きくとも輸入が輸出を上回り、貿易収支は赤字、経常収支が赤字である上、国家財政基盤も脆弱であることから、「通貨・ルピーの対米ドル相場の変動は大きく、例え、インド・ルピー建てでの売上高が拡大し、利益が上がったとしても、それを米ドルやまた円に引きなおした際に、思ったほどの成果が上がらない、或いは逆に思った以上の成果が上ぶれてしまう」といった状況を引き起こす可能性があり、「一般的には、ビジネスがしにくい」といった状況にあります。
こうしたことから、現状では、総じてインド・ビジネスの主流は、「今後のインド国内市場への参入に大いに関心を持ちながらも、当面は相対的には高品質を保ちつつ、相対的にはコスト安でビジネスを展開すると言ったことを前提とした製造拠点的利用が主流となりそうである」と見ておくべきでありましょう。また、その際にはインド国内の物流ルートの悪さや原材料の量と価格の安定確保を意識したリスク管理もしっかりと図っていかないと労を多くして成果が上がりにくいビジネスとなってしまう危険性もあります。そして、昨今の「突然の」高額紙幣廃止に伴う経済社会の動向を見ても、政府の安定的な国家運営姿勢という点からは潜在的な不安は残ります。インド・ビジネスは魅力的ではありますが、やはり精緻な検討、準備も必要となりましょう。(おわり)
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