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2016-12-08 00:00
(連載1)エジプト動向について
真田 幸光
大学教員
私はかつて勤めていた東京銀行、東京三菱銀行、ドイツのドレスナー銀行時代の経験からして、「国家の経済破綻」に対しては極めて神経質です。国家は民間企業とは異なり、経済破綻したからといって領土が奪われるといった形で自らの資産を処理してその債務返済に充てなくてはいけないと言った究極の処理まで求められることは普通ありません。
しかし、ブラジルやアルゼンチン、或いはアジア通貨危機に襲われたタイ、インドネシア、韓国などの事例を見ていると、「通貨の暴落」を背景に、その通貨を国際的に管理・監督している「国際通貨基金=IMF」が事実上の管財人となって破綻国家に介入し、破綻国の経済的主権を抑制する形で破綻後の処理を行っており、これは見方を変えれば、その破綻国の国民から見れば、「国際通貨基金による経済的主権の侵害」とも映るのであります。
さて、私は、アフリカは潜在的な労働者も多く、潜在的な消費者もおり、インフラ開発や消費財の需要も高い成長センターの一つであり、これまでの中心的な国家は南アフリカ、ケニア、エジプト、チュニジア、モロッコ、コートジボワールなどの最終的には英仏が宗主国となった国々であるとも認識していますが、アラブの春以降、特にエジプトの状況は気掛かりです。
この国は、アフリカと中近東を繋ぎ、イスラム勢力の中では相対的には中庸な立ち位置にあり、イスラエルとも一定の関係を持つ国として注目されてきたはずなのですが、今は今ひとつ状況が悪いようです。そして、最近では、「エジプトは今、経済危機の最中にある」といった見方が大宗となっています。例えば、通貨・エジプトポンドは、エジプト中央銀行が新通貨システムを導入してから最低安の水準にまで落ち込み、上述した通貨の暴落が見え、エジプト中央銀行は、「エジプトの外貨準備高が危機的水準にまで低下している」と発表、最近では、国際通貨基金の指導を受けて、「変動相場制以降」を発表しつつ、国民に不要にポンドを売ってドルを買わないよう、呼びかけ続けてきています。(つづく)
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