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2016-12-02 00:00
ベルギーにおける格差問題
真田 幸光
大学教員
私が認識しているところでは、「ベルギー王国」と言う国は西欧に位置する小国であり、特にフランス人などには、「見下される傾向のある国」であります。そのベルギー、国家の概要を見ると、ベルギー王国は、西ヨーロッパに位置する連邦立憲君主制国家である。そして、隣国のオランダ、ルクセンブルクと合わせてベネルクス三国などと呼ばれることもある。首都は、ブリュッセル、これを正確に示すと、ブリュッセル首都圏地域と言い、ベルギーの大きく五つの地域の一つに数えられている。そのブリュッセルには欧州連合(EU)の主要機関の多くが置かれている。そうしたことから、“EUの首都”とも言われている。ベルギーの通信・金融網は、ヨーロッパはもとより、世界の中核的役割を果たしているとも言える。尚、憲法上の首都は、19の基礎自治体から成るブリュッセル首都圏の自治体の一つ、ブリュッセル市と言うのが厳密な定義となる。
さて、ベルギー王国は、19世紀に当時のネーデルラント連合王国から独立した国家で、オランダ語の一種であるフラマン語が公用語の北部フランデレン地域と、フランス語が公用語の南部ワロン地域とに大きく二分される。しかし、この他にドイツ語が公用語の地域もあることを忘れてはならない。建国以来、単一国家であったが、オランダ語系住民とフランス語系住民の対立、主として言語戦争を中心とする文化の違いによる対立が続いたため、1993年にフランデレン地域とワロン地域とブリュッセル首都圏の区分を主とする連邦制に移行している。
こうした中、ベルギーには、実際には、「格差」の問題が内在している。即ち、工業・サービス業が発達した北部のフランデレン地域と、石炭・鉄鋼業が衰退した南部のワロン地域では失業率には大きな格差があり、ワロン地域の失業率が高くなっている。更に、労働者の需給にギャップが生じても、ワロン地域はフランス語以外話せない住民が多数であるため、ワロン人がフランデレン地域で就労することが困難であり、失業率の格差が縮まらない一因となっていると言う厳しい現実も存在している。またブリュッセルは移民が多く、低技能労働者が多いことから、失業率はやはり高い。更にまた、南北の経済格差も深刻で、フラマン系の裕福な北部と、比較的貧しい南部という構図が定着している」と言われています。
即ち、ベルギーは、「民族や文化、歴史的背景を超えて、一体化していこうとする、正に欧州統合の理想」とも言うべき、実績を上げており、それを背景として、真の欧州統合を目指す欧州連合の象徴として、EUの様々な主要機関がこのベルギーの首都・ブリュッセルに本部を置く一方で、最近では、格差を主たる背景としながら、これに移民や難民問題も複雑に絡み合い、「社会的不安」が一気に顕在化してくる可能性もある国とも言えます。ベルギーの秩序やシステム、平和的な社会文化が維持されていくことを願うのみであります。
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