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2016-11-29 00:00
日本政府は『米国抜き』TPPの決断を
加藤 成一
元弁護士
アメリカ共和党のトランプ次期大統領は、11月21日「大統領就任初日にTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱宣言をする」と改めて言明した。これで、トランプ次期大統領の翻意は極めて困難となり、TPP協定の発効は絶望的であろう。しかし、現在のところ、アメリカ以外のTPP協定署名の11ケ国は、日本を含めいずれも参加を断念していない。もともと、TPP協定は、アメリカ政府が主導して日本を含む各国との永年の交渉の結果、ようやく合意署名に達したのである。それにも拘わらず、この期に及んでそのアメリカ政府の次期大統領が、これに強く反対し離脱を宣言することは、その理由が「国内産業を守るため」とはいえ、他の署名各国に対する「国際信義」に著しく反する行為である、と言えよう。
「関税撤廃」を掲げ、世界で最も進んだ自由貿易協定であるとされるTPP協定に、もともと自由貿易を推進するはずの先進国アメリカの次期大統領が、こともあろうに、これに強く反対し離脱を宣言することは、アメリカ産業の国際競争力の深刻な低下を示すものと言えよう。特に、自動車産業に代表される製造業の長期にわたる「低生産性」が根本原因であろう。アメリカがTPP協定から逃げて、これに参加しないことは、自動車産業に代表される製造業の「低生産性」が今後も継続することを意味し、アメリカの国際競争力、ひいてはアメリカの国力をさらに低下させることになるであろう。
日本政府は、国内の反対を押し切り、敢えて、生産性が低く国際競争力の乏しい農産品等の市場開放、輸入拡大のリスクをとって、TPP協定への参加を決断した。これは、日本の得意分野でもある。生産性の高い自動車などの工業製品の輸出拡大によるメリットもさることながら、農協改革をはじめ、農業の大規模化、法人化など、生産性向上を目指す農業の本格的構造改革により、「国際競争力」のある日本農業の再生構築を図る契機ともなり得ると、日本政府が判断したからである。日本政府の言う「攻めの農業」がそれであろう。
今般、トランプ次期大統領がTPP協定からの離脱を改めて内外に宣言した以上は、日本政府としては、今こそアメリカに追従せず、主体性をもって他の署名10ケ国に働きかけ、早急に『アメリカ抜き』のTPP協定発効に向けた協議を開始することを決断し行動を起こすべきである。そして、『アメリカ抜き』のTPP協定が発効し実施されて、署名各国がそれぞれ自由貿易体制のメリットを享受するようになれば、韓国、台湾をはじめとする新たな参加国も増え、将来アメリカが改めて参加を求めてくることも十分にあり得ることである。日本政府の早急な決断と行動、そして、今こそアメリカに依存しないアジアのリーダーとしての、日本独自の真のリーダーシップの発揮を求めたい。環太平洋諸国の「自由貿易体制」のルール作りは、アメリカに替わり共産党一党独裁で国有企業中心、知的所有権軽視の中国に委ねるべきではなく、自由貿易を推進する世界第三位の経済大国であり、しかも自由と民主主義、法の支配を国是とする日本こそがそれに最も相応しい国である、と言えるからである。
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