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2016-11-21 00:00
(連載1)トランプ氏の米国大統領選挙勝利について
真田 幸光
大学教員
今年は「英国の欧州連合残留・離脱見通し」に続き、「米国大統領選挙の見通し」についても、マスコミの予測は「大外れ」しました。国際金融筋も、瞬間的には直前の予測の読み違いをし、これを背景として、「金融市場は一時的には動揺した」とも言えましょうが、しかし、その動揺も直ぐに収まり、「安定的な方向へと戻った」といった動きを示したことから見ても、「英国の欧州連合離脱」や「トランプ氏の勝利」を国際金融市場は、一定程度は想定していたと見ておくべきであり、これを異なる角度からに言えば、「予測をつけにくい状況にあったことから、様々な可能性を想定していた」とも言えましょう。
そして、トランプ氏勝利の背景には、経済大国・米国ですら、国内に、「格差を背景とした水面下での大きな不満」が存在し、そうした勢力が、「既得権益層に対する不満を募らせ、えも言われぬ閉塞状況から脱することを求め、その結果として、変化を求めた」とも言えるのではないかと思います。トランプ氏自身も富裕層で既得権益層と見る向きもあり、その通りとも私も思いますが、しかし、トランプ氏は古くからの既得権益層ではなく、新興の既得権益層であり、従って、古くからの権益に固執する既得権益層を潰してくれるのではないかとの期待感が底辺層から向けられたものと見られます。
こうした一方、クリントン氏は、均衡(balance)政策を標榜する民主党にありながらも、既得権益層にあると見られ、米国民が、「クリントン氏では変化は望めない」との見方をしたことを受けて、票が伸びなかったものと見られています。もちろん、こうしたことに加えて、クリントン氏を中国本土に近いと見た国防省筋がクリントン氏を敬遠、選挙戦の終盤には国際金融筋もクリントン離れの動きを示したとの見方も流れ、クリントン氏の敗北が決定的となったとも見られているのであります。
いずれにしても、米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことは事実であり、これからは、トランプ政権の政策運営がどのように展開されていくのかに対して注目をしていくべきかと思います。そうした意味で、トランプ氏の基本姿勢を推測すると、(1)国内的には、古くからの既得権益層の打破に向かって動く、少なくとも、その姿勢を示す。(2)就中、労働組合に対しては「結果」を早期に示す動きを見せる。この延長線上では、トランプ氏が保護主義的な動きを示すこととなると予測する。(3)対外的には「強い米国」の復活に走る。そして、対中政策は厳しく出る。特に対中軍事政策に対しては厳しく出つつ、経済面では「人民元」の国際基軸通貨としての存在感拡大を嫌い、当面は米ドル高・人民元安を誘導する。また、国内の労働組合を意識すれば、TPPは再検討と言うことになるかもしれないが、中国本土が米国に代わって、環太平洋地域の貿易と投資に関する主軸となる動きを示してこようとすれば、トランプ政権は一転、TPP推進姿勢に変わるかもしれない。そして、その中国本土との連携色を示す英国やドイツとは一定の距離を置くかもしれない。その反対側で、例えば、ロシアとは一定の協調路線を採る可能性もある。(4)しかし、いずれにしてもビジネスマン的な視点から比較的短視眼的視点より損得勘定を行い、メリットが期待できるものを着実に捉えて、目に見える実績を挙げていくような政策スタンスを採るのではないか。(5)日本に対しては、経済面では厳しい姿勢を示す可能性は残るが、軍事面では、中国本土を意識して、基本的には日米協力姿勢を強化してくるのではないかとも見られている、といった見方が出来ましょう。(つづく)
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