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2016-11-17 00:00
(連載1)アメリカ大統領選挙とTPP交渉とEU
緒方林太郎
衆議院議員(民進党)
アメリカ大統領選挙がこういう事態になるとは予想していませんでした。そういう中、衆議院本会議でTPP協定及び関連法案が通過しました。協定については、国会を延長さえすれば憲法の規定により30日後には自動成立です(ただし、関連法案はそうではありません。そして、関連法案が成立しないと批准書の寄託はありません。自動成立ばかりを強調するマスコミには違和感を感じます。いずれにせよ参議院でも採決まで漕ぎ着けないといけないのです)。ところで、今後のTPPについてですが、国会での議論を通じて、私がTPPについて「蓋」をしてきた将来的可能性が幾つかあります。広義での再交渉、見直しに当たるものを丁寧に「これはやりませんね」と蓋をしてきました。TPP特委よりも前の、通常国会での衆議院内閣委員会での議論でかなり石原大臣と激しく議論した結果です。
国際法について。「再交渉」、これはTPP協定そのものの再交渉を指します。「法的拘束力のない文書での新しいコミットメント」、これは口上書、解釈了解、サイドレターといった法的拘束力のない文書で追加的なコミットメントをすることを指します。TPPとは法的には別物となる、新規の追加協定:別協定の交渉をして事実上、TPP+αを作ろうとする動きを指します。国内法について。「国内法の追加的改正」、これはアメリカがよくやる手法でして、協定は変えないけど、それを実施するための国内法での追加的コミットメントを求めることを指します。「政省令での対応」、これは法律は変えないけども、政省令で何らかの対応をすることを指します。一番わかりやすいのは、畜産物の価格減少時の補てんを行う通称「マルキン」の補填率を8割から9割に上げることが予定されていますが、これは省令事項です。アメリカからの圧力でこの率を現状維持とするようなものをイメージしていただければと。
これらの可能性については、すべて「やらない」という答弁を、私は政府から取り付けています。「そんなの簡単だろ。聞けば答えてくれるだろ?」と思う方もおられるでしょうが、かなり骨が折れました。石原大臣は一発では応えてくれなかったのです。当初、国内法の追加的改正には「想定されない」という答弁が用意されていたようで、そればかり言うので、「想定されるから聞いているのです」と何度も詰め寄って、最終的に「やらない」という答弁になりました。
しかし、遠からず、トランプ大統領による「再交渉」要求が出てくるのではないかなという気がするのです。というのも、例えば、既に発行している日豪EPAでオージービーフの価格が下がります。冷凍については、最終的(15年後)に38.5%→19.5%、冷蔵については38.5%→23.5%まで下がります。しかも、この削減は1年目でガンッと下がり、その後徐々に下がってこの水準ですので、即効性があります。TPPではこれよりも下げ幅が大きく、9%まで下がる予定でしたが、これが反故になるとアメリカンビーフが日本市場で明らかに売れなくなっていきます。アメリカの牛肉生産者からすると、BSEで失った日本市場シェアをようやく取り戻したのにまた、手から溢れていくという印象でしょう。(つづく)
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