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2016-10-27 00:00
(連載1)国際海峡制度について思う
緒方林太郎
衆議院議員(民進党)
さて、10月21日に、大臣所信に対する質疑ということで内閣委員会で質問しました。その中で、私がずっと追っている「国際海峡制度」について、松本純海洋政策担当相に質問しています。そもそも、松本国家公安委員長兼防災担当相兼消費者担当相が、海洋政策を担当していることを知っている方は少ないでしょう。なので、海洋政策本部もなかなか大臣にブリーフする時間がないだろうと思い、「重要なテーマだから、大臣によく勉強してもらうように」と質問通告時に伝えました。なお、質問自体は、与党の皆様にとても好評でした。「予算委でもああいう質問したら?」と言われてしまうと苦笑するしかないのですが。
内容は、まず、先般、中国の艦船がトカラ海峡を通過していったことからスタートです。トカラ海峡というのは、口永良部島、種子島と口之島との間にある海峡です。もっと正確に言うと、口之島から少し沖に出たところに「平瀬」と言われる領土があり(Google Earthでも見つけられません)、口永良部島、種子島と平瀬との間にある海峡ということになります。日本が中国艦船の通過に対して抗議したら、中国側から「あそこは(非常に自由度の高い通過が認められている)国際海峡ではないか」という反論が返ってきています。まずは、ここから質問しています。答弁は「国際海峡ではない」というものでした。その論拠については、航行実態として通過する船の数が少ないということでした。ここはとても重要なポイントです。
では、次は日本に「国際海峡」はあるのか、そして、国際海峡に適用がある非常に自由度の高い「通過通航制度」の適用があるのか、という問いになります。ここは、宗谷、津軽、対馬東水道、西水道、大隅海峡は国際海峡であるが、これら5海峡については領海法によって領海の主張を3カイリに留めているので公海部分がある、なので、そこを通ってもらえればいいので通過通航制度は必要ない、という答弁でした。ここは是非、知っていただきたいのですが、これら5海峡については、本来主張できる主権が狭められているのです。しかも、外国と面している2海峡、宗谷海峡(ロシア)、対馬西水道(韓国)について言うと、相手国はどれだけ領海を主張しているかと言えば、ロシアは中間線まで、韓国は3カイリです。韓国との関係では、お互いが3カイリで自制しているかたちになっていますが、ロシアとの関係ではこちらが3カイリ、相手は中間線と非対称性が存在します。宗谷海峡で開いている公海部分は、日本が中間線まで主張すれば埋まってしまう場所だけです(日本から見て3カイリから中間線までの間)。この不条理は解消すべきだという思いです。
大臣の答弁の中で「なるほど」と思ったのは、「通過通航制度を導入してしまうと、上空の自由な通過も認めなくてはならない」という点でした。ここはたしかに貴重な視点だと思います。ただ、「領海を3カイリに維持すること(主権を狭める)事が適切」と答弁するのは、本当にそうなのかなと思います。勿論、通過通航制度ではかなり自由な船舶(や航空機)の通過を認めなくてはならないので、公海状態で置いておく事とどの程度の違いがあるのかという問題もあります。(つづく)
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