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2016-10-26 00:00
韓国経済について
真田 幸光
大学教員
韓国経済はまだら模様の推移を示していると見られます。外需依存度が50%を超え高い状態にある中、世界経済情勢に不安があることが、韓国経済の不安定な成長に結びついているものと思われます。更にそうした中、輸出産業の中心の一つにある韓国自動車産業界のジャイアント・現代自動車に於いて発生した労組による大型スト、韓国トップ企業である三星電子の新製品であるギャラクシーノート7の事故問題と米国に於ける訴訟問題拡大の動き、そして、韓国主要企業である韓進海運の事実上の経営破綻問題による海運物流の混乱とこれに対する政府対応に向けられた内外の不信感、ロッテグループの経営問題といったものが加わり、韓国経済の先行きに対する見通しには懸念材料が残ります。また、韓国経済の底辺にある、「外貨資金繰り」に対する不安もあり、韓国経済に対する不安感はなかなか払拭されず、これを背景として、外貨資金繰りの急激な悪化に備える為、「日韓通貨スワップ再開の動き」が見られていますが、今のところ、その動きも不透明であります。しかし、さりとて、「韓国経済が破綻する」というリスクは現時点では低いとも見られ、こうした結果、「まだら模様の推移となっている」との評価となっているのであります。
さて、こうした中、中央銀行である韓国銀行は、韓国の来年の経済成長率見通しを従来の2.9%から2.8%に引き下げました。また、消費者物価の上昇率見通しは1.9%で変動なしとしています。これは、韓国銀行の李柱烈総裁が月例の金融通貨委員会後の記者懇談会で発表したものであります。更に内容を見ますと、今年の成長率については従来の2.7%の見通しを維持していますが、物価上昇率の見通しは0.1ポイント引き下げ1.0%としています。同行の来年の成長率予測は、3%台の成長が可能であるとする韓国政府の予測よりも低いものでありますが、政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)(2.7%)、民間シンクタンクのLG経済研究院(2.2%)と韓国経済研究院(2.2%)、現代経済研究院(2.5%)の予想を上回っています。そして、韓国銀行が今回、経済成長率見通しを引き下げた背景について、李総裁は、「韓国経済が抱える構造的問題に加え、短期的リスク要因も考慮した」と説明しています。
世界的には、英国の欧州連合(EU)離脱議論の過程でさまざまな不確実性が増大し、世界経済にマイナス影響を与えかねないとしたほか、米国が段階的に利上げをするとしても一部のぜい弱な新興国の経済状況が不安定化する恐れがあるなどと、韓国銀行独自の分析内容を披露しています。また、韓国国内では不振企業の構造調整に伴い家計など経済主体の心理が冷え込む可能性を大きなリスクと捉えているともコメントし、「内憂外患」の状態にあることを懸念材料として捉えています。
世界経済が予想よりも回復が早ければ韓国経済の回復も早いとの楽観的な見方も一部にはありますが、やはり、一般的には韓国経済に対しては厳しい見方をしておく方が良いかと思います。尚、李総裁は今回の発表に合わせて、「三星電子の新型スマートフォンである“ギャラクシーノート7”の販売打ち切りに伴う影響を成長率見通しに反映した」とコメントした点も付記しておきたいと思います。
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