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2016-10-13 00:00
人民元の国際通貨化について
真田 幸光
大学教員
基軸通貨となることは、「世界のモノやサービスの世界的な経済的価値判断基準となる」ことを意味し、その為には、先ずはその通貨が国際金融社会で国際化され、それが市場で認知されなければなりません。基軸通貨として認知されると、その結果として「世界の主要なモノやサービスの価格の建値がその基軸通貨建てで提示される可能性は高まる」といった現象が見られます。そして、その主要なモノやサービスの価格の建値がその基軸通貨で提示されていくと、通常は決済もその基軸通貨建てでなされていくこととなり、この結果として国際的な金融決済を行っている金融機関は「決済通貨としての基軸通貨を自らの資産の中に組み入れていくことが不可欠となる」という状況となります。その資金は決済資金でありますから、不足しているときには直ぐに調達しなくてはならず、余剰となった時には直ぐに運用するべき資金となります。
そうした視点から考えると、国際的な決済活動を行おうとする金融機関は、決済資金の運用、調達が最もし易いところ、即ち国際決済資金が最もたくさんある基軸通貨を発行している国にこれらの資金を置くことになります。すると、その決済資金の為に基軸通貨発行国に置かれた資金は「基軸通貨発行国の法治を受ける」こととなり、基軸通貨国の法に基づいて資金口座の検査を受けたり、場合によっては資産凍結などの管理・監督をも受ける可能性があります。そして、これまでそうした役割を果たしてきている基軸通貨は米ドルであり、よって国際的な活動をする金融機関は国際決済資金の多くを米国内に置き、結果としてそうした資金は米国の法治を受け、時に米国当局のモニタリングを受け、或いは制裁を受けることもあるのであります。資金洗浄のチェックなどは正にこうしたシステムの中で、現状米国を中心に行われているのが実態であります。
ところで、私はこうした基軸通貨を持つ国が、自国の法律によって他国の金融機関までも管理・監督することに対する不満が積っていると感じています。米国に管理・監督されることを嫌がる国として中国本土が挙げられ、従って中国本土は人民元の国際化を段階的に進め、昨年はとうとう国際通貨基金の出資金の構成通貨(SDR)の一つに人民元をはめ込むことに成功し、その段階を更に進めています。一方、EU離脱で注目される英国は、ここ数年英国の主要な金融機関が米国の国内法によって英国の金融機関が資金洗浄のチェックミスを背景として米国政府から莫大なる罰金を徴求されていることに対して、強い不快感を示しておりました。
私には、こうした状況にあって英国が人民元のSDR入りを容認したとの見方をしていますが、今後は更に英国自身が「ロンドン市場での人民元の国際化」を容認、人民元の国際取引を拡大していくことをサポートする可能性もあると一応想定しておくべきではないかと考えています。英国の中央銀行と中国本土の中央銀行の連携が強まりつつある中、「人民元の国際化」についても大いに注意を払っていきたいところであります。
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