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2016-09-27 00:00
(連載2)フィリピンはどこへゆく
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
さらに南部ミンダナオ島ではイスラム過激派アブサヤフとの戦いが激化し大統領は無法状態を宣言した。大統領は麻薬組織だけでなく、テロ組織とも全面戦争に入っている。ドゥテルテ大統領が行っているイスラム過激派組織アブサヤフの掃討作戦だ。最近、戦いは激化している。8月27日にドゥテルテ大統領はアブサヤフを「壊滅させる」と宣言し、国軍部隊による掃討作戦を命じた。ミンダナオ地方スルー州パティクル町で大規模交戦に踏み切り19人のアブサヤフ戦闘員を殺害したという。8月29日にはアブサヤフが南部スルー諸島ホロ島で交戦で、国軍人15人を殺害、10人を負傷させた。アブサヤフはフィリピンのISと呼ばれており身代金目的の外国人誘拐事件も引き起こしている。ドゥテルテ大統領はアブサヤフ掃討作戦に2,500名以上の兵士の導入している。ドゥテルテ大統領の報道官によると大統領は毎日、脅迫状を受けているという。今後、戦闘がエスカレートする可能性がある。
麻薬組織とテロ組織との戦いが短期で終わる可能性は小さい。長期化すれば暴力対暴力のルールが支配する社会になる。国際社会からの批判も強まるが国内の治安不安も現実的な問題となりそうだ。
さらにドゥテルテ大統領は中国との戦いにも参戦しそうだ。中国は、海南島の南方から東方にかけて「九段線」という境界線を設定している。そしてそれを資源採掘や人工島造成を行う権利の根拠としている。次々と人工島を造り軍事的な要素を入れている。フィリピンだけでなくベトナムやマレーシアも強く抗議している。フィリピンはこれをハーグの仲裁裁に訴え、仲裁裁は中国の権利を認めない立場を示した。仲裁裁はさらに中国が人工島から200カイリまでを排他的経済水域(EEZ)としてきた主張に対し、人工島はEEZ設定の根拠にはならないと判断した。中国は人工島周辺で自然環境を破壊しているとの警告もしている。中国の全面的な敗訴である。これに対して中国はこの判決は「紙切れ」にすぎないとして全く無視する姿勢だ。日経新聞(9月4日付)によると「フィリピンのロレンザーナ国防相は4日、南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)に中国の艦船10隻が停泊していることを明らかにした」という。スカボロー礁はフィリピンのすぐ近くある。これは親中といわれていたドゥテルテ大統領を激怒させているようだ。ドゥテルテ大統領の次の戦いが始まりそうだ。
麻薬組織にテロ組織、そして中国との戦いを思い切るかも知れないドゥテルテ大統領。強く支持する人もいれば、強く反対する人もいる。いずれにしてもフィリピンは超注目の国となった。何が起こるかわからない。(おわり)
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