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2016-09-23 00:00
北朝鮮の核開発について
真田 幸光
大学教員
北朝鮮は国際社会での存在感を維持する上からも核開発を止めません。全世界が核放棄をしていない現状、「何故北朝鮮が核放棄をしなくてはならないのか?」との主張を繰り返し、核保有する米国や中国本土などの国に対して、「核開発の正当化」を続けて主張しています。その上で、北朝鮮自身は、「今回の核実験は核弾頭の威力判定の為の核爆発実験であった」と主張しつつ、小型化、軽量化して弾道ミサイルに装着できる核弾頭の生産が可能になったと豪語しています。もしこれが正しいとすると、これは脅威であり、米国政府も北朝鮮の核開発の状況に懸念を示しています。
航空機による核爆撃に比べ、核弾頭ミサイルは迎撃が難しいとされており、北朝鮮が核搭載型ミサイルを開発する目的は、正にこうした武力強化を背景にして、米国本土やグァム米軍基地、更には在日米軍基地を核の脅威下に置くことにあるとの見方も出ているのです。こうしたこともあってか、国際社会では、国連が安全保障理事会を開催し、北朝鮮の5回目の核実験を受けた非公開の緊急会合を開きました。極めて由々しき事態です。
さて、こうした中、その北朝鮮と対峙している韓国政府の企画財政部は、北朝鮮が5回目となる核実験を行ったことに関して、「国内外の金融市場および実体経済に与える影響は大きくない」との認識を示し、内外に動揺が広がらないように配慮する発言を行っています。北朝鮮の核実験を受けて開かれた韓国の緊急の「マクロ経済金融会議」に於いて、こうした見解を示したものであります。私自身も、確かに当面、国際金融市場での動揺は表面的には顕在化しておらず、そうした意味では、「実体経済に与える影響は限定的である」と見ておいてよいであろうと考えています。しかし、北朝鮮は核開発の進展と同時に、潜水艦からのミサイル発射実験成功などの状況を見ると、北朝鮮のミサイル発射能力の向上も具現化しており、そうした意味では、「北朝鮮の潜在的な脅威は増している」とも認識しておくべきであり、その影響をフォローしなくてはならないと考えています。
そして、そうした軍事面も含めた総合的な視点から見た地政学的リスクの顕在化を阻む上からも、「日米中露と韓国」が連携した、「平和を求める(=窮鼠猫を咬むような形で北朝鮮を追い込みすぎてはいけないという意味)北朝鮮包囲網の構築」は不可欠であり、就中、「米中連携」は重要となると私は考えています。そして、その米中連携を基にして、「上述したような、北朝鮮の軍事力強化を技術面で支えているのではないか」との可能性が指摘されている、「ロシアの北朝鮮に対する関与」をしっかりと牽制する機能を持たないと、「北朝鮮の軍事力を含めた潜在的なリスクの上昇」を食い止めることは出来ないのではないかと私は危惧しています。そうした意味でも、是非、「米中が真の大国の品格と威信を示し、単なる覇権主義に基づくものではなく、大局的な見地からの国際連携を進化させる」と言うことを具現化してもらいたいと私は期待しています。
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