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2016-08-20 00:00
(連載2)連合王国とスコットランド
緒方林太郎
衆議院議員(民進党)
ここまでを纏めれば、行政、経済上も、条約上も、スコットランドが“state”たる独立国家にならないと、EU残留は難しいでしょう。では、独立国家としてどうやって残るかという事ですが、ここは少しバラエティがあり得ると思います。
独立国家として新規加盟の場合、今のEU基本法であるリスボン協定の加盟の手続きが適用されます(Article 49 Any European State which respects the values referred to in Article 2 and is committed to promoting them may apply to become a member of the Union.)。独立国家としてであれば、ここは何の問題もなく適用可能です(独立国家でなければ、事実上、適用できない)。
連合王国の承継国家として残留の場合、連合王国が現在、EUで享受している様々な権利(+義務)を承継する国家として、スコットランドが独立するというイメージです。ちょっとトリッキーにも見えますが、決して無理だとは思いません。スコットランド側の問題というよりも、EU側が承継国家だと見なして、今の連合王国に適用する制度をすべてスコットランドとの関係で認めてあげる限り、何の問題も生じません。
どちらにしても、独立して残留するのなら、EU側は可愛い、可愛いスコットランドに最大限の配慮をするでしょう。今以上に恩恵を出したりする事すら考えられます。私が見る限り、こんな感じです。ところで、今日はあまり細かく書きませんが、連合王国の核兵器(トライデント・ミサイル)を搭載可能なヴァンガード級原子力潜水艦の帰港であるクライド海軍基地はスコットランドにあります。核兵器はスコットランドが保有することになるのかな、いう疑問があります。その他にも、連合王国の大事な収入源である北海油田はすべて基線をスコットランドから引いた場所にあります。独立すれば全部スコットランドに行ってしまいます。最後の2点は、以前のスコットランド独立の住民投票の際も、大きな議論になった事です。深刻だと思いますね。(おわり)
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