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2016-07-22 00:00
朝鮮半島情勢について
真田 幸光
大学教員
私は、様々な見方はあることを承知の上で、敢えて、「日本にとって、韓国と北朝鮮から構成される“朝鮮半島”全体は、中国本土とロシアを強く意識した場合、大いなる緩衝地帯であり、そうした意味で、価値のある存在である。」と考えています。もちろん、「北朝鮮の核の脅威をはじめとする軍事的脅威」が存在していることを無視してはなりません。また、韓国も、「全く減退しない反日的な動き」が強く気になり、「日米韓連携で北朝鮮問題に対応しよう。」と日本が呼び掛けても、韓国は、米国との連携は意識しつつも、日本との連携には実際にはなかなか応じない姿勢を取り続けています。こうしたことから、「日本にとって、朝鮮半島全体が、“前向き”な意味での緩衝地帯である。」とは決して言えないことは当然であります。
しかし、それでも、「韓国、北朝鮮共に、即ち、朝鮮半島全体が、米国と、ロシアと中国本土と言う大国の狭間で上手にパワーゲームを展開していることによって、日本は、中国本土やロシアの脅威を直接的に受けることは、現状では少なくなっている。」と考えています。また、そうした中で、決して日本に対して胸襟を開かぬ韓国、北朝鮮は、時として、米中露を意識して、日本を、「カード」として利用してくる場合があり、そうした時点では、日本と朝鮮半島との関係が一時的とは言え、「良化」することもあります。
こうした不確かな要因をたくさん持つ朝鮮半島は良いか悪いかは別にして、日本にとっては、中露を意識した場合の緩衝地帯となっていると思います。従って、その朝鮮半島全体が、その立ち位置を固めず、「親米なのか、親中なのか、はたまた親露なのか?」を曖昧にしてくれていた方が日本にとってはむしろ良いかもしれないとも私は考えています。特にこうしたことは、「軍事面」では重要かもしれません。所謂、軍人と言うものは、現実をしっかりと認識した上で、自らが有利か不利かの認識を固めた上で、一気に軍事行動に出る、かく乱戦術を取る、一旦、相手の陣中に入り込むといった立ち位置を決めていく傾向が強いと思われますが、韓国、北朝鮮の軍の立ち位置は、「米中露、いずれの軍と比較しても自国軍の兵力は劣っている。」と認識しているものと思われ、従って、両国ともに、「米中露と一戦を構えるつもりは基本的にはない。」と私は見ています。
こうした中にあって、最近の情勢を見ていると、「韓国軍は一旦、米国寄りに戻るかに見えたが、再び、中国本土に擦り寄る可能性を示唆している。」「一方、北朝鮮は、金正恩委員長の基本姿勢は、核武装は進めるものの、米国と戦う気はないとの基本姿勢を示している。こうした北朝鮮に対して、米国は、北朝鮮の人権問題に触れ、対北圧力を強めていることから、北朝鮮がこうした米国の挑発に乗らないように注意をしている。」という状態となっているものと思われます。私は、日本としては、こうした朝鮮半島情勢を意識しつつ、米中露と如何に交渉し、日本の立ち位置を有利としていくのかをしっかりと議論していくべきであると考えています。参議院選挙が終わった直後、早期に、国際社会に於ける日本の立ち位置を日本の議会制民主主義の中で議論されていくことを期待したいと思います。
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