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2016-07-14 00:00
議会制民主主義について
真田 幸光
大学教員
国際金融情勢は、先般の英国のEU残留か、離脱かを求める国民投票の結果を受けて、「先行き不透明の混沌の様相に入った。」と言えます。そして、そうした混沌の原因を図らずも作ってしまった、「英国の今後の動き」に私たちは、好むと好まざるとに拘らず、関心を持たなくてはならないような状態となっています。
ところで、英国のそもそもの政治制度であり、世界の政治制度の模範ともされている、「議会制民主主義」とは一体どのようなものであるのでしょうか?様々な辞書による定義を眺めてみると、「議会制民主主義とは、主権を持った国民から選ばれた代表から構成される議会を中心に行われる民主政治である。主権者全員参加の直接民主主義という概念も歴史的には存在するが、現代の民主主義は基本的には議会制民主主義である。また、これを間接民主制とも呼ぶ。即ち、選挙などのある一定の方法によって民意の代表者を選出し、自らの権力の行使をその代表者に信託することで、間接的に政治に参加しその意思を反映させる政治制度を指す。」とされていますが、最近では、ハンガリーのインターネット民主党のように、昨今の技術革新を積極的に活用することによって直接民主主義への復古、或いは転換を目指す政党も出てきており、「国民不在・民意軽視の議会制民主主義」への不満の受け皿として、IT活用型直接民主主義への転換を模索する動きも世界にはあり、議会制民主主義発祥の地と認識される英国にあっても、「直接民意を問う為の国民投票」を重要視する動きが出てきていたのではないかと私は見ています。
しかし、そうであったとしても、私は直接民主主義の弱点の一つたる、「大衆迎合的な政治体制とならないか?」という懸念を払拭する上からも、「行政府の長たるキャメロン首相と、立法府である英国議会は、もっと、議会で論戦を展開し、議会としての結論を、もっともっと明確に示した上で、その議会が導き出した一定の結論を以って、国民に信を問う。」という形の国民投票にしていくべきではなかったかと考えています。ちょっと、無責任な表現をすれば、キャメロン首相は、「行政府と立法府できちんと決着がつけられないので、国民に結論を求めて丸投げしてしまった。」とも見られるわけであり、更にその後、キャメロン首相に至っては、自らの見解、立場に反する結論が出たので、「私はもう知らない。」と言わんばかりに、「辞任」を公言したように、私には映ります。
世界的に見られる、「政治のリーダーシップの弱体化、リーダー不在」の状況が拡散する中、「保守的で自国中心的な発想」が各国で広がっていくと、世界各国の協調体制は崩れ、むしろ対立の危険性は高まります。そうした意味でも、「分からない状態である混沌の深まり」を感じます。更にまた、わが国に於いては、今回の英国のような状況とならないように、今後も、特に、憲法改正問題を意識しながら、「先ずは、民意で選出された議会のメンバーがとことん議論をし、しっかりとした論理的な説明と結論を導き出すべきであり、その上で、必要に応じて国民に信を問うという国民投票を行う。」というプロセスを踏んでくれることを期待するばかりであります。世界の客観情勢が、混沌の深まりを感じさせる中、粛々と生きていきたいと思います。
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