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2016-07-13 00:00
(連載1)国連海洋法条約と慣習法
緒方林太郎
衆議院議員(民進党)
南シナ海をめぐる仲裁裁判所判決により、中国が国連海洋法条約を脱退するのでは、との記事を見て、「中国がバカなことを言っている」と思う方は多いでしょう。私もそう思います。しかし、ここでどうしても忘れてはいけないことがあります。それは、アメリカは国連海洋法条約を批准しておらず、メンバーではないという事です。アメリカは何に反発しているかというと、深海底に関する規定でして、深海底資源を人類共有財産として、その活用が途上国寄りになっているという事です。そこを中国は狙ってきています。脱退を批判されたら「アメリカなんか、元々入ってない。何故、うちだけ批判されるのか?」、こういう答えが返ってくること必定です。なかなか答えにくい問いです。
ただ、ここで重要な考え方は「国際慣習法」です。国際法の中には、(明文化されていないけれども)慣習的に国際法として確立しているというものがあります。そして、こういう慣習法は国際紛争を解決する手段として認められています。というより、元々国際法は慣習法からスタートしたものでして、それを具体的な条約として確定していったというのが歴史的には正しいのです。
アメリカは、国連海洋法条約には入っていないものの、その多くの規定は国際慣習法化していると見なして、事実上従っています。非常にザクッとして言うと、町内会が管理しているグランドの使用については具体的な使用規定がある、町内会メンバーはそれに従ってグランド使用している、ただ、町内会に入っていない人もその規定は当然のものと思っているので、同じくそれに従ってグランドを使用している、そういう事です。
国際慣習法とは、国際司法裁判所規程第三十八条にある通り「法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習」です。要件は「法として認められた」と「一般慣行」です。ここで難しいのが、国連海洋法条約の規定は何処までが慣習法化しているか、という事です。慣習法化している部分はありますが(元々古くからの慣習法を条約として取り込んだ規定も多い)、そうでない部分もあるでしょう。もう少し簡単に言うと、国連海洋法条約の中で、同条約に入っていようが、入っていまいが当然にして従うべきものは何で、入っていない国が従わなくていいものは何かという事です。(つづく)
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