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2016-07-07 00:00
(連載1)今般の英国国民投票に思う
真田 幸光
大学教員
2016年6月23日に実施された英国の、「欧州連合(EU)からの脱退(私は敢えて、離脱ではなく脱退と言う言葉を使います。)か残留か?」を問う国民投票は世界の耳目を集めました。そして、その、「EUからの脱退に投ずる国民票が過半数を超えた。」という結果を見て、世界には衝撃が走りました。直前の予測が、「EU残留」を予測していただけに、余計にその衝撃は大きかったものと思います。そして、その結果、景気・経済の先行指標的な要素を含む外国為替市場や主要株式市場の動揺は大きく、総じて、否定的な評価が広がり、所謂、国際金融市場には悲観的な観測が広がった結果として、英国ポンド安やユーロ安、欧州株安とそれによる先進国株安、更には欧州各国が起債している特にユーロ建て国債の価値にも不安が走りました。ある意味では当然の動きであり、今後、更に英国のEU脱退の手続きが本格化され、その余波が鮮明になれば、更に世界経済に不安が広がる可能性はあります。しかし、「災い転じて福と成す」的要素が欧州で芽生え、大陸ヨーロッパを中心に、「緊急事態に於ける結束の高まり、強まり」がむしろ目に見える形で出てくれば、世界経済に与える衝撃は、意外にも早期に終息していく可能性もあります。
要するに、世界は、少なくとも、国際金融市場は、「先行きの予測が不透明な中で、当面のポジション調整を一旦行ったことを踏まえて、当面は様子見に転じる。そして、方向性が見えてくる段階で、他者に先んじて、その先行き予測に合わせて、再度のポジション調整を行うチャンスを探る。」というステージに入ったものと思います。いずれにしても、私たち日本人庶民も、今後の世界経済に与える影響、日本に与える影響、わが社に与える影響、そして私たち自身に与える影響を人に先んじて読み込み、その対応、そして勝機があれば、「先手を打つ」ことが重要であることは言うまでもありません。しかし、今日の私の見方は、そうした点に重きを置くのではなく、私自身は、もう少し、大局的、本質的な点であると考えている点に置いて、コメントをさせて戴ければと考えています。
私のそもそもの専門である「政治学」の世界では、世の中が最も安定となる状態は、覇権=Hegemony、均衡=Balance of Power、の二つであるとされています。そして、英国と言う国は欧州大陸・フランスから征服王がグレートブリテン島に渡り、先ずはグレートブリテン島の覇権を掌握(私の見るところエリザベス女王一世時代に確立)、その上で、その「島」から大陸欧州を鳥瞰図的、複眼的に眺め、大陸欧州の各国を意識しながら、世界にその覇権を広げることを徹底し、世界的に見られた「帝国主義」の中で、「パックスブリタニカ」を構築、その後、第二次世界大戦後は、米国のオバマ大統領もコメントした、「米国との特別な関係」も巧みに利用しながら、表面には米国を立たせて、世界の「標準=Standard、例えば、標準時、国際言語、基軸通貨、国際的な法律基準、国際的なものづくり基準、国際的な会計基準等々」の根幹を英国が握りながら、今日に至っています。英国のグレートブリテン島を縦断されたことがある方はお気づきですよね?英国にはめぼしい資源はあまりありません。よって、大英帝国の人々は、目に見える「有形資産・資源」を背景とした覇権を考えるのではなく、大英帝国の人々の内面に存在する知恵を背景とした目に見えない「無形資産・資源」を背景として世界に君臨する手法を取り、英国が生み出した独自の、「統治システム」を背景にその覇権を拡大して言ったのであります。
しかしながら、その覇権の力も最近は、色褪せてきており、「英国が支えとする国際金融の世界に於いて、米国、そして大陸欧州にさえも攻勢を受ける状態となっている。」「英国から見れば、新興の大陸欧州の王族に対する覇権にも陰りが見られ始めている。」「かつて、眠れる獅子にまで追い込んだアジアの盟主・中国本土にも攻め込まれ、とうとう、キャメロン首相は中国本土の習近平国家主席を英国王宮に招きいれてしまった。」「こうした中で、英国の無形資産を担保する“英国連邦”のたがにも緩みが見られ始めている。」といった状態を強く感じる、特に高齢の誇り高き、「英国人紳士淑女」が、「大英帝国の覇権再編」を強く意識し、その為には、「英国のトップとしてキャメロン首相は相応しくない。」ということを前提にし、「EUからの脱退」の選択をした国民が、拮抗はしていましたが、EU残留派を上回ったのではないでしょうか?少なくとも、私はこのような見方をしています。(つづく)
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