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2016-06-22 00:00
(連載2)イギリスはEUから離脱するのか
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
こうしたポイントについて、富める人と貧しい人との間で明確な意見の差が出てくる。イギリスの国の貿易などにおいては富める人はEU内での自由貿易が必要だが、貧しい人にとってそうした大きな経済問題には関心がない。そもそも金を持っていないのだから、EUに留まろうと出ようと関係ないと考えているのだ。失うものがある人はEUに残るべきだと考えるが、失うものがない人にとってはどうでもいいことだ。それよりも、現実に自分の職を奪っているように見える外国人を規制する方がいいと思うのだ。
イギリスは金融立国となった。貧富の差が激しくなり、一部の非常に豊かな金持ちと多くの貧乏な労働者に分かれた。マルクスは製造業でこの貧富の差が起こると予測したが、実際には金融資本主義でこの貧富の二極化がおきている。総じて言えば、金持ち層はイギリスがEUに残ってビジネスをすべきだと考え、貧困層はイギリスはEUから離脱して「イギリス的」社会に戻すべきだと考えている。労働者階級ナショナリズムが生まれつつある。これに火がついたら今では後者のほうが多数となっている。一気に流れができつつあるのだ。
こうしたことから、私は最後にはEU離脱派が勝利すると考えていた。しかし、ここにきて残留派議員が殺害されるという事件が起きた。今後の展開によっては、また残留派が盛り返す可能性もある。結局は、大接戦になる可能性がある。
日本がとやかくできる話ではないので、結果を見守るしかない。問題はイギリスがEU離脱を決めた時だ。イギリスがヨーロッパ中心主義ではない道を選択したとき、アメリカ・日本を中心とした関係を強めるのか、中国との関係を強めるのか。イギリスは香港との関係から、金融業では香港との関係が強い。アジアインフラ投資銀行にヨーロッパから最初に加盟を決めたのはイギリスであった。イギリスは外交で世界を渡り歩いてきたしたたかな国でもある。どういう方向性を打ち出すのか。イギリス・インド・日本というトライアングルの関係強化の可能性もある。イギリスにとっても世界にとってもイギリスのEU離脱問題は、どう転んでもリスクとチャンスが共存するわかりにくい状況となりそうだ。(おわり)
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