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2016-06-21 00:00
(連載1)イギリスはEUから離脱するのか
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
イギリスがEUから離脱するかどうか。重要な国民投票は6月23日である。残留派が優勢と伝えられて、接戦にはなるものの、まず現状維持であろうと思われていたが、この1ヶ月の間に離脱派が勢いを増した。ついに逆転し、支持の差を広げつつある。移民に対する感情的な反発もあり、このまま離脱派が逆転の勝利か、と思われたが、16日には残留派のジョー・コックス下院議員が銃で撃たれ死亡するという事件が起きた。まだ、この事件の詳細は報道されていない。こうした事件は、感情的には被害者の側にプラスに働くことが多い。殺人の理由がはっきりする必要があるが、この事件がEUからの離脱の国民投票と関連しているなら、浮動票が残留に流れる可能性が高い。最後の最後まで読めない国民投票となりそうだ。
この国民投票での論点は主として3つ。まずは経済への影響だ。イギリスの産業は弱体化している。その中で群を抜いて強いのが金融業だ。ロンドンは世界の金融市場の中心的役割を担っている。イギリスがEUに加盟していることによって、金融機関はロンドンに拠点を置けば、EU内の国々で許認可を求められることなく、自由なビジネス展開ができる。こうした自由なビジネス展開に規制がかかる可能性がある。ただ、EUに加盟していることによってこれから導入される予定の金融取引税などがかかる。EU離脱がすべて金融業界にマイナスというわけでもない。製造業は弱体化しているもののEU市場をにらんだ外資系企業が活動をしている。日本からもトヨタや日産など自動車工場が進出している。EUを離脱すると、made in UKには関税がかかることになる。イギリスでの生産の優位性が揺らぐ。すぐには撤退しないものの、投資は減る可能性が高い。
もう一つのポイントは移民・難民の問題だ。EU加盟国は難民受け入れを拒否できないし、移民に関してもよほどのことがなければ受け入れ拒否ができない。イギリスは社会保障の制度も優れたほうになり、移民・難民の移住希望も多い。イギリスには移民・難民が非常に多く移住してきている。彼らが争うのは労働者階級の人々だ。低賃金でも働く移民・難民はイギリスの労働者階級の人にとってみれば仕事を奪う人と映る。またイギリスの社会保障制度によって移民・難民が社会保障を受けているのを見ると「気に食わない」と感じる人もいる。それに加えて、最近はテロの恐怖もあり、「移民・難民、お断り」というムードがある。
最後のポイントは、EUに加盟していると、ギリシャなど「オニモツ」の国の支援もしなければならない。これが嫌だと思う人は少なくない。また環境対策や共通農業規制など、イギリスだけで決めることができない規制がでてくる。(つづく)
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