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2016-05-27 00:00
中国を笑えない日本のタックスヘイブン
田村 秀男
ジャーナリスト
パナマ文書は、資料流出元のパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」関与分だけで、タックスヘイブン(租税回避地)の氷山の一角に過ぎない。中国関係に比べ、米国、日本関係が異様に少ない。なぜか。
モサック・ルートは旧英領を含む英国のタックスヘイブンのネットワークが中心になっている。中でも英領バージン諸島のシェアが圧倒的に高いのは、同諸島がロンドンの金融街シティの飛び地になっているからだ。旧英領の香港も伝統的に英領タックスヘイブンとの結びつきが強い。習近平国家主席を含む中国共産党幹部一族の巨額資金が香港経由で容易にバージン諸島に逃避し、そのあとは「外資」を装って香港経由で中国本土への投機に回る。モサックは香港事務所でこれら中国の強欲利権者を上得意にしている。米国の法人、個人が少ないのはデラウェア州など米本国にタックスヘイブンがあるからで、同州にはかのヒラリー・クリントン氏、ドナルド・トランプ氏という民主、共和両党の最有力大統領候補がともにペーパーカンパニーを登録していると噂されている。米当局は海外への資産移動は厳しくチェックするが、国内タックスヘイブンには甘い。米国が課税逃れ封じに本腰を入れるはずはないのだ。
タックスヘイブン全体の資産総額は推測の域を出ないが、少なくても800兆円という専門家もいれば、国際非政府組織(NGO)の「税公正ネットワーク」は2010年末時点で、21兆~32兆ドル(約2270兆~3450兆円)、米国の国内総生産(GDP、約18兆ドル=約1940兆円)をはるかに超える。強欲な投機ファンドの温床になり、市場を撹乱させては、私たちが暮らす実体経済を揺さぶり、格差を拡大させ、経済の安定成長をぶち壊してしまう。金持ちが「節税」であって、「脱税」ではない、合法だと言い張ろうとも、巨大な化け物、タックスヘイブン・マネーを野放しにすることは、世界経済の自壊につながる。にもかかわらず、どの国も、小手先だけの「課税適正化」の国際協調で済ませている。
では、日本のタックスヘイブンでの資産シェアはどのくらいか。日本関連は実のところ、ケイマン諸島が圧倒的に多い。スイス・バーゼルにある国際決済銀行(BIS)の統計によると、日本の法人のオフショア市場での金融資産残高はケイマン諸島を中心に昨年末で約7400億ドル(約79兆9200億円)、世界でのシェアは約25%。「オフショア」とは帳簿上国外分として扱われるペーパーカンパニーの受け皿であり、タックスヘイブンの金融バージョンである。バージン諸島は英国の中に組み込まれ、BIS統計から除外されている。BIS分類上のタックスヘイブンはまさに日本が支えている。このカネが米欧の投機ファンドに回り、日本株売り、円高を引き起こす。まさに「貢(ミツグ)君」だ。中国を笑えない。
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