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2016-05-16 00:00
(連載1)TPP交渉におけるサイドレターについて
緒方林太郎
衆議院議員(民進党)
TPP交渉では、二国間でのサイドレターというものが結構たくさん作られています。一番最悪なサイドレターは、恐らく「保険等の非関税措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡」でしょう。このサイドレターの「かんぽ生命」部分を熟読して、怒りを覚えない日本人はまず居ないと思います。国辱のサイドレターです。ただ、今日取り上げるのはその部分ではありません。もう少し柔らかいテーマでして「バーボン・ウィスキー」です。酒類について、「酒類の表示の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文」というサイドレターがあります。その冒頭にこういう規定があります。
「日本国は、バーボンウイスキー又はテネシーウイスキーとして製造された製品が、それらの製品の製造を規律するアメリカ合衆国の法令に従って同国において製造されていない場合には、日本国の関係法令に従い、同国においてそれらの製品のバーボンウイスキー又はテネシーウイスキーとしての販売を禁止することを検討する手続を開始する。」
これを読んでみると、「まあ、アメリカでバーボン・ウィスキーを作っている方にとっては、製法の違う日本産ウィスキーに名前を勝手に使われてはたまらないよね。」と同情する方もおられるでしょう。ただですね、「バーボン」と言うとアメリカ産だと思うでしょうが、あの語源は元々は「ブルボン」なのです。アメリカ独立戦争の時、フランスのブルボン朝がアメリカの味方をしてくれたことへの記念で付けられたケンタッキー州の地名です。単にブルボン(Bourbon)を英語読みしたらバーボンになっているだけです。
アメリカは基本的に「地理的表示」についてはとても背を向けています。地理的表示で有利になるのがヨーロッパで、新大陸系の国々は地理的表示を保護されると苦しくなるからです。ただ、このサイドレターでは、バーボン・ウィスキーについての地理的表示の権利を創設するものではないと書いていますけども、事実上は「地理的表示」に限りなく近い発想です。欧州に苛められる時は地理的表示に背を向けるけども、自国の産品で保護したい時は、バーボンという名前を使うなというのは、とてもご都合主義に見えます。しかも、その名前たるや、元々はフランスの王朝の名前じゃないかと思うと尚更です。(つづく)
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