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2016-04-05 00:00
日本の「潜在的核保有能力」を維持確保せよ
加藤 成一
元弁護士
大津地裁は、3月9日関西電力高浜原発3号機、4号機の運転差止めの仮処分決定をしたが、同決定は、四国電力伊方原発最高裁判例を逸脱した可能性が否定できないのみならず、このような決定が、国のエネルギー政策全般に重大な影響を及ぼし、日本の国力と国益を根底から阻害することが懸念されるのである。
とりわけ、軍事力を背景に海洋進出を企てる中国や、「水爆保有」を喧伝する北朝鮮の脅威を考えれば、原発再稼動による電力の安定供給もさることながら、それよりも、再稼働による日本の「潜在的核保有能力」の維持確保こそが、日本の安全保障にとって死活的に重要であろう。
その意味では、2014年の日米首脳合意に基づき、3月22日茨城県東海村の原子力研究開発機構から純度の高いプルトニウム331キログラム(原子爆弾40発分相当)をアメリカに移送したこと、さらに、4月1日ワシントンで開催の「核安全保障サミット」において、安倍首相が、大阪府泉南郡熊取町の京都大学原子炉からの高濃縮ウランの撤去をアメリカ政府に確約したことは、日本の「潜在的核保有能力」の維持確保にとっては、明らかに不利益であろう。
それによって喜ぶのは中国と北朝鮮であろう。このような、日本の安全保障に重大な影響を及ぼす措置については、今後、日本政府としては、中国や北朝鮮の脅威を見据え、何よりも日本の安全と国益を第一に考えたうえで、極めて注意深く、慎重に対処すべきである。
アメリカ大統領予備選挙において、共和党で首位を走るトランプ候補が、日本からの「米軍撤退」や「核武装容認」の可能性を主張していること、その背景には、これを支持するアメリカ国民の世論があること、などを考えるとなおさら、日本は、安全保障を全面的にアメリカに依存するのではなく、今後は「自衛的核保有」の検討も含む、自主防衛の気概と覚悟が必要であり、そのためにも、日本の「潜在的核保有能力」の維持確保は不可欠であろう。
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