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2016-04-05 00:00
(連載2)海洋の科学的調査について
緒方林太郎
衆議院議員(民進党)
まず、強烈なのが、この口上書はウェブ上では一切公開されていないという事です(なので、何処からもリンクが張れません。)。なので、内容を知りようがないのです。しかし、この口上書は秘密文書ではありません。役所の文書管理のあり方として、極めて異常だと思います。何故、公開されないのかは、以下のような理由があります。上記の大臣答弁にある通り、本来は「(1)六カ月前までに」「(2)外交ルートを通じて我が国の同意を求める」という事が本来の国連海洋法条約の決まりでして、日本もそれに従ってガイドラインを作っています。
しかし、日中間の口上書では、「(1)二か月前までに」、「(2)外交ルートを通じて通報する」なのです。期限は短いし、同意も求めなくていいのです。単に通報すればいいだけです。しかも、口上書では、中国が通報を行わなくてはならないのは「日本側が関心を有する水域である日本国の近海(領海を除く)において海洋の科学的調査活動を行う場合」であり、日本が通報を行わなくてはならないのは「中華人民共和国の近海(領海を除く)において海洋の科学的調査活動を行う場合」です。
この違いが何を意味するのかは即座に判断が付きかねますが、日本は中国近海で科学的調査を行いたければすべからく通報、逆に、中国が日本近海で行う場合であっても日本が関心を有しない水域であれば通報は不要ということになることだけは確実です。なお、実質的とまでは言えませんが、結構な重要ポイントとして、この両国の口上書では「東シナ海」を「東海」と表記しています。中国側が日本に出す文書であればまだしも、日本側が中国に出している口上書にも「東海」です。「トンヘですか?」と嫌味の一つも言いたくなります。日本の法令用語で、あの海域を「東海」と呼ぶものは一つもありません。
丸山議員が質問した「(問題のある海洋調査をしている)外国船」はほぼすべて中国の船のはずです。なのに、一般論である国連海洋法条約に基づくガイドラインだけを説明して、(きっと知られたくない)日中間に適用される「海洋調査活動の相互事前通報の枠組みの実施のための口上書」について一切触れないというのは、準虚偽答弁だと思いますね。今、外務委員会に居ないので岸田外相に質問できませんけど、何処かでは取り上げたいネタです。(おわり)
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